客のことを考えないソムリエは真夏にぬるいシャンパンを出す

こちらの記事誰のために何を優先すべきかがなかなかの反響を呼んでいるようだ。いいねが1.5万ついている。
記事を読めば分かるが、ちょっと不器用なシェフの素直な心情の吐露が共感されていて、飲食店の人を中心にシェアされているようだ。記事に書かれているのと同じ悩みを持っている飲食店の人がきっと多いのだろう。

記事の要点は、客質が悪いので、お店を禁煙にしたとか、アラカルトをやめてコース料理だけにしたりなどして、シェフの相手にしたいお客さんだけを相手にできるようにしたということらしい。
シェフはネットで叩かれているとか気にされているようだが、気にすることはないだろう。こういうお店は応援したいし、実際に行ってみたい。シェフの目の届く範囲やコントロールできる範囲を絞っているようなので、きっと美味しい店なのだと思う。

思うに、いい飲食店って、お店の側の意識と、意識の高いお客さんと両方揃って初めていいお店になる。これは双方が少しづつ成長していくものなので時間がかかる。
一朝一夕で良いお店が最初から誕生するわけではない。その過程を飛ばして無理に成長しようとしたり、お店の人がやりたいことだけをやろうとするお店は、たいてい閉店することになるだろう。

真夏にぬるいシャンパンを出す店

数年前のこと、実際に経験したことでこんなことがあった。ワインの状態にかなりこだわったソムリエがいると言われている店に夏に行った時のことだ。
一杯目のシャンパンがぬるいのだ。真夏の暑い中お店に着いた直後は、誰だって喉が乾いているし汗も出ている。一杯目の泡は冷えているほうがいい。

私:「もう少し冷やして欲しいです」
ソムリエ:「このシャンパンは上等なもので、これくらいの温度が一番美味しいです」

と一点張り。確かに、良いワインは赤でも白でも泡でも冷やしすぎないほうがいい。しかし現に暑くて汗を書いている状態では冷えているほうが美味しく感じる。接客する側ならそれくらい想像して対応すべきだと思う。
「では代わりに冷えたビールください」と伝えたら、ビールはないとのこと。喉が乾いた客の要望を満たす代わりの提案すらない。
このように一方的に好みを押し付けてくるソムリエのいる店は客の支持を集められないだろう。実際私は二度と行くことはない。この偉大なソムリエ氏は、自分のやりたいだけをやりたいのだろう。

やりことと経営のバランス

飲食店に限らないが、仕事で個人的にやりたい事と経営のバランスをとるのは誰でも苦労していると思う。飲食店でも、デザイナーでも、サッカー選手でも、画家でも、作家でも、俳優でも、etc etc、、、。
今この記事を書いていて、昔聞いた大学の先生の話を思い出した。研究に没頭できない授業期間中は研究できないイライラで太るけど、逆に大学の夏休み期間中は研究に没頭して痩せるらしい。この先生の話もやりたいことと経営のバランスの問題と同じこと言っている。

やりたい事と経験のバランスが完全に一致しているのが理想だが、現実はそんなに簡単にはいかない。実際には以下のようなステップをみんな踏んでいるのだろう。

  1. 人に受け入れられることで自分のできることを先ずは考える
  2. 1の要件を満たすようなサービスを提供したり、商品を作ったりする
  3. 徐々に、受け入れてくれた人が自分の方に向いてもらうようにしていく

流行っているブログとか、売れてる作家とか、繁盛してる飲食店とか、きっとみんなこういう段階を経ているはずだ。それを意識してやっているか意識していないかに関わらず。

飲食店を例にしてみる。上のようなステップを地道に踏んでいるお店は、そのお店の色に客が染まっていく。私は煙草は死ぬほど嫌いだし、子供がいる店も好きじゃないので、喫煙OKの店、子供OKの店は基本的に避けたいのだが、それでも好きなお店の中で煙草OKの店も子供OKの店も両方ある。
自分の好ましくない条件があるお店にそれでも行く理由は、それを上回るメリットがあるからだ。

料理が美味しい満足度 > 煙草いや
店主が面白いことによる満足度 > 子供いや

と単純にこれだけのこと。つまりそれぞれのお店の色に私が染まっているわけだ。うまいことやっているお店には、色に染まったお客さんがついてくる。一生売れない孤独な芸術家を目指したいのでもない限り、やりたいことと経営のバランスを地道にとるしかないのだと思う。

文章に書くと「地道にバランスをとる」と一言で終わるのだが、この過程は誰もが舵取りに苦労しているはず。冒頭で紹介した記事がシェアされているのは、そういう苦労に多くの人が共感したからだと思う。

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このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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