2016/09/12

罪の声 塩田武士著 読み始めたら止まらない長編小説

グリコ・森永事件をあなたは知っているだろうか。今から30年以上も前の1984年3月に、江崎グリコ社長が誘拐され身代金を要求された。
その後犯人は次々に他の有名食品メーカーにも脅迫を繰り返した。ターゲット企業の市販のおかしに青酸をまくなど世間を混乱させたが、警察は犯人を検挙できないまま未解決事件となった。

このグリコ・森永事件をモデルにしたフィクションが「罪の声」。私はあまり小説を読むことはないのだが、たまたま買って読んだら非常に面白かった。
400ページもあるのだが読み始めると止まらなくなり、一気に読んでしまった。

この小説に感銘を受けた理由はその丁寧な取材ぶりだ。作品の緻密な構成や展開から取材の丁寧さを伺い知ることができる。真に迫る描写を読んでいると、昔の事件がリアルタイムで展開しているかのように感じる。読みはめると止まらないのはこの丁寧さに基いている。

もう一つこの作品の根底にあるのが作者の子供への愛だ。社会にとって子供すなわち未来すなわち希望と言えるだろう。
グリコ・森永事件は青酸のついた菓子が実際に売り場に並び子供の未来を奪う可能性があったわけで、それに対する作者の怒りがこの作品を貫いている。この一貫性があることで作品がぶれることがなく、どんどん続きが読める。

暑い夏も終わりそろそろ読書の秋が近い。秋の夜長に何を読むか迷っている人にはおすすめの一冊。読むのが早い人なら、面白いので一晩で読めるだろう。
さて、この作品、章の終わり方が続きを読みたくなるように書かれている。人を引き付けて続きを読ませる文章がどんなものか分かるから、文章の勉強をしている人にもおすすめの一冊と言える。

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このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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