2017/07/24

アマゾンのレビューで称賛されているガン治療の本が専門家の判断ではトンデモだった件

アマゾンの商品レビューはどれくらい参考になる?

アマゾンの書評とか商品レビューを参考に書籍や商品を買うかどうか決める人はいるだろうけど、はたしてどの程度信じていいのだろう。 購入を検討中のものが嗜好品ならば仮にはずしても「損したなぁ」で済むが、医療とか健康に関しては金銭的な被害では済まない。最近、知り合いが34歳でガンでなくなったので、なおさらそう思う。

目次

アマゾンのレビューで称賛されているガン治療の本が専門家によるとトンデモだった例

アマゾンのレビューで称賛されているガン治療の本が、専門家の判断では標準的な医療からかけ離れたトンデモ本だったと言われている事例があることを、あなたは知っておいたほうがいいと思う。

幸いにも私は病気とは無縁のため、医学関係の本を検索したり、本屋に行って手に取ることはない。だから医学書について考えたことはなかったのだが、たまたま以下のツイートを見たのがきっかけで、医療本のレビューが気になり、アマゾンで検索してみた。

問題の本はがん治療に苦痛と絶望はいらない 余命2ヵ月を完治に導くがん活性消滅療法 というもの。まぁタイトルからして怪しいが、実際に自分や家族が余命Xヶ月なんて宣告をされたら、すがるようにこういう本を手に取る可能性を否定できない。
そこに書かれているのがトンデモ医療であっても、そもそも専門家でないから判断できないし、仮に多少の知識があっても余命を宣告された状態では冷静に判断なんてできないだろう。

ちょっと想像してみてほしい。あなたは余命数ヶ月のガンと宣告されて精神的に追い詰められている。救いを求めてアマゾンでガンの関連本を探したらレビューが称賛で溢れている本があった。そんな本があれば思わず買って、そして内容が良かったら、著者の病院で受診しようと思ってしまうのではないか?

この本のレビューがさくらなのかステマなのか、あるいは純粋なレビューなのかは判断できないが、以下に私がフォローしている専門家の意見を掲載する。「医学系一般書籍に対する評価は本当にあてになりません。」とある。

この方のツイートやブログを読むと、良識があり信頼できる医療の専門家であると分かる。
日頃のツイートは信念に基づいてのツイートであるのは明白で、普段からこういう専門家をフォローしておけば、あやしいレビューなんかを信じずに済む。
特に医療分野においてはあなた自身の命に関わるかもしれないので、なおさらちゃんとした専門家を知っておく必要がある。

世間に溢れる有害なトンデモ本

出版社の出した本でもトンデモはあるの?

医療以外にもトンデモ本は世の中にいくらでもある。多すぎていちいち紹介しきれないが、一例を挙げる。たとえば、船橋洋一氏の21世紀 地政学入門 (文春新書) もそういう一冊だ。船橋洋一さんは過去に朝日新聞の主筆を勤めた方だ。この肩書きからすると相当な知識人だと察するが、しかし「21世紀 地政学入門」はトンデモ本なのだ。

作家の佐藤優さん著の「現代の地政学」という本があり、その中に「21世紀 地政学入門」をダメ本の例として紹介するくだりがある。その一節を以下に紹介する。

書店に地政学の本がたくさん並ぶようになりました。ところが地政学と名前がついても、箸にも棒にもかからないものが九割以上です。普通、悪い例は紹介しませんが、極めてひどいので名前を挙げるのが、この船橋洋一さんの「21世紀 地政学入門」(文春新書 )です。率直に言って塵芥の類です。だから読むと頭が悪くなる。

現代の地政学(晶文社) p250

と、こんな感じで5章が始まり、257pまで「21世紀 地政学入門」のダメな箇所を引用して「ここはおかしい」という形式で批判が続く。この船橋洋一さんのように、権威ある人が書くトンデモ本は、なまじ影響力があるだけに有害なのだ。
問題は普通の人はそういう本をトンデモ本だとなかなか見分けられないことにある。しかし、わたしたちはそういうものをダメな例として見分けないといけない。そうでないと実害を被ることがある。次にそんな事例を紹介する。

誤診で実害を被った事例

マスコミに出る有名な先生でも誤診する

最近たまたま読んだ「発達障害(文春新書)著者:岩波明さん」に、精神病の誤診で実害を被った例が書いてあった。マスコミにでるような有名な先生の診断を受けた例だ。ちょっと長いが引用する。

最近経験したケースであるが、40歳代の男性Hさんは長年にわたり、「精神分析」を専門とする医師の診療を受けてきた。この医師はマスコミにもしばしば登場して社会的な問題にコメントすることも多く、彼の両親は引きこもり状態の息子を連れてこの医師の外来を受診していた。

だが結果は散々だった。その医師はHさんの発達障害を見ぬくことができずに、「病気ではない。ただの甘えだ」と一喝した。本人の受診はしばらくして中断したが、あきらめきれない両親はその医師に相談を続けた。「甘え」を厳しく指導するようにと指示された両親は、Hさんと対立を続け、その後10年あまり家庭内に諍いが絶えなかった。

ある時期Hさんは、自分は発達障害ではないかと思い、医師に食い下がった。だが、まったく聞いてもらえなかったという。その後、彼は自ら筆者の専門外来を受診し、正しい診断がついた。間もなく投薬の内容を変更して安定した精神状態を続けることができるようになった。最近では両親との仲も改善し、一緒に旅行にも行くようになっている。

有名な精神病の先生の誤診がもとで10年間も家庭不和だったのだから、すさまじい実害である。こういう不幸な目に遭わないにはどうすればいいだろう?
実害に遭う可能性をゼロにすることはできないが、あなたのちょっとした心がけで可能性をゼロに近づけることはできる。最後にそれを紹介する。

※ちなみに岩波明さんの「発達障害」は「21世紀 地政学入門」と同じ文春新書だけどまっとうな本です。

トンデモにだまされないための心得

トンデモ情報やトンデモ先生に遭って実害を受けないためにはどうすればいい?

トンデモの被害を被らないためには、あなた自身が知識武装するしかない。日頃から古典に親しみ、学術書を読んで、、、っていうのはなかなか大変なので、もう少し簡単にできることはないだろうか?

信頼できる専門家をフォローする

一番の基本。それは専門家をフォローすること。ただし、権威ある先生っていうだけで鵜呑みにしないこと。
また、マスコミに頻繁に出てる先生がいたら、かえって怪しいと疑っていい。なぜなら、ちゃんとした先生は本業が忙しいために、マスコミに頻繁に出る時間なんて普通はそんなにないはずなのだ。たまにインタビューされるくらいならまだしも、頻繁に出てるのは絶対に不自然だ。

料理人の川◯達也さんのお店が、たいして美味しくなかったのはグルメの人たちの間では有名だ。まっとうなシェフなら食材の調達、料理の仕込み、営業時間の料理など1日中忙しくてテレビに出る暇なんてないのだ。

でも、テレビに出てる有名シェフのお店っていうだけで、私たちは「美味しい」と勝手に思い込んでしまうのだ。それは錯覚ですよ、はい。
たまたま料理人を例に挙げたが、他の専門家でも同じことだ。

複数の意見を参考にする

ひらたくいえばセカンドオピニオンのこと。ある学説があれば、それと対立する学説にも耳を傾けよう。また、あなたが根拠なしに「こうだ」と信じてることはあてにならない可能性が高い。あなたと違う意見でも、とりあえずは目を通そう。

著者が知的に誠実かどうか

書籍や新聞だから信用できるとは限らない。何らかの情報に接したら、それを書いた著者の姿勢を確認しよう。ちゃんとした根拠を提示しているか、データや引用元は正確か、などで知的誠実さを確認できる。

その記事の主張が感情的、情緒的な主張に終始していたり、また仮に論理的であったり、グラフが提示されていても、それを書いた人に都合よく解釈されたものである可能性があることを肝に銘じておこう。

信頼できる情報源にあたろう

官公庁のウェブサイトは、デザインはへなちょこだがある程度まっとうなデータと言っていいいと思う。なぜなら特定の誰かを儲けさせるためのものではないからだ。絶対とは言わないまでも、けっこう公正と言える。まちがってもヘルスケア大学とか信用してはダメです。

新書でいいから本を読もう

本を読んで知識武装しよう。何千円もする学術書でなくても、新書で優れた内容の本はある。最近のおすすめは烏賀陽 弘道さんの「フェイクニュースの見分け方」。トンデモとか偏向報道の裏側がわかる。

もう一冊はタイトルがあれだけど、ネットメディアのトンデモぶりが分かる。WELQとかヘルスケア大学のように、スマホで気軽に検索して出てきた情報を鵜呑みにしちゃうあなたに読んでほしい。

フォローするのにおすすめのアカウント

どんな人をフォローすればいい?

そんなあなたに、フォローするのにおすすめのツイッターアカウントを以下に紹介する。ソーシャルで友達同士でつるんでも、楽しいだけで賢くはなりません。

この方たちのアカウントに共通するのは、フォローしている人より、フォローされている人の数のほうが圧倒的に多いということ。
だから、20万人のフォロワーがいるアカウントであっても、フォローしているのが20万人以上いるようなアカウントはフォローする意味がないか、場合によっては有害かも。

他にも佐藤優さん、宮家邦彦さん、池上彰さん、山内昌之さんなどたくさんいる。
あなたは勉強して、信頼できる専門家の動向や言説を日頃から追いかければ、トンデモに騙されたり、ヒアリ報道に慌てて殺虫剤を買うことがなくなります。

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このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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