【歴史とデータから分かる】北朝鮮が国連から追加制裁される理由

北朝鮮への制裁決議が国連安保理で採択された。石油輸出に上限を設けるというものなんだけど、当初アメリカが石油の輸出禁止と言っていたことを考えると、この制裁案は骨抜きに近い。

なんでこういう状況なんだろう?そもそもなぜ北朝鮮は制裁されているんだろう?

この理由について3冊の歴史教科書の朝鮮戦争の項目を確認したら、北朝鮮の問題の理解がすごくクリアになった。読んだのはどの教科書も1ページだけ。3冊だから合計してもたった3ページだけど、背景が分かるので新聞が読みやすくなる。今回読んだのは以下の3冊。

北朝鮮の追加制裁でもめている背景

まずは朝鮮半島の南北が分断

1948年に南に李承晩(イスンマン)を大統領とする大韓民国が、北には金日成(キムイルソン)を首相とする朝鮮民主主義人民共和国が建国された。

理解しやすい世界史A 文英堂 p191

朝鮮民主主義人民共和国は北朝鮮のこと。民主主義ってまじかよっていう名称だけど、それはわきに置いておこう。ドイツが東西に分かれたのと同じように、朝鮮半島が南北に分かれたんです。アメリカとソ連が争った冷戦の構造がそのまま持ち込まれた。どちらの国も自分の国の利益を最大限にして、相手の国の利益を最小限にしたい。囲碁みたいな陣取りゲームと同じ。

朝鮮半島が統一されてなにがそんなに脅威なのか、感覚的に分からないかもしれないけど、第二次大戦の記憶が生々しい当時の感覚だと、中国、ロシアからすればアメリカの朝鮮半島統一は、目の前に攻撃基地ができることを意味してめっちゃ怖い。あなたも家の前にヤクザが住んでいたらこわいでしょ。ひょっとしたら武器を持っているかもしれない。いつ襲ってくるかわらかない。それと同じ。

朝鮮戦争が勃発

こんな状況で、1950年6月25日、南北間の軍事衝突が続いていた北緯38度線を越えて北軍が攻勢に出たのです。この攻撃は成功してアメリカと韓国の軍を一気に釜山まで追いやった。

国際連合では、7月にソ連が欠席している安全保障理事会において、朝鮮戦争を北朝鮮の侵略と断じ、国連軍の派遣が決定された。ところが、朝鮮では、朝鮮民主主義人民共和国軍(北朝鮮のこと)がめざましい快進撃を続け、8月には大韓民国軍とアメリカ軍を釜山周辺に追いつめた。しかし、9月にアメリカ軍が仁川・群山に上陸したため、退路を断たれた人民軍は武器とともに姿を消した。アメリカ軍・韓国軍は10月には38度線を越えて北上し、鴨緑江(アムノッカン)の近くまで進んだが、中国義勇軍が北朝鮮側を援助して参戦した。11月になると義勇軍・人民軍が反抗に転じ、南下を続けて、1951(昭和26)年1月にソウルは再び北朝鮮側の手におちた。アメリカ軍・韓国軍も反抗して38度線付近に達したが、以後、戦線は膠着状態となった。

いっきに学び直す日本史 近代・現代【実用編】 東洋経済 p242

ソ連が国連をボイコットしている間に国連軍(つまりアメリカ軍)の派遣が決定されたあたり、ソ連の間抜けぶりが出ていて面白い。国連軍は勢いを盛り返し、38度線を突破し、アメリカは朝鮮を統一しようとした。そこで中国が出てきておしくらまんじゅう状態になり、結局決着がつかずに、53年に休戦し今に至る。つまり朝鮮半島は70年間時間が止まったままなの。

3年におよぶ戦争は南北に甚大な被害をもたらし、感情的な対立を残した。また南北朝鮮は東西対立の前線として常に臨戦体制を維持せざるをえず、双方に独裁的な対立がつくられる原因となった。

詳説 世界史研究 山川出版 p520

以上3冊ではだいたい同じことが書かれています。誰が書いたかわからないwikiなんかよりよっぽど信頼度が高い。ちなみに日本はこの朝鮮戦争で大儲けして、戦後の奇跡の復興の足がかりとなった。

データで分かる北朝鮮の貧困ぶり

ソ連が滅びて冷戦が終わりドイツも統一された今、朝鮮は南北に分かれている意味はない。でも北朝鮮の権力者は権力をせっかく握ったわけだし、それを手放したくない。それで意地張って頑張っているんです。

データを見れば分かるけど、北朝鮮めっちゃ弱い。以下が世界国勢図会のデータ。

北朝鮮はもう虚勢をはるしかすることがないのは明白で、韓国一国にすら勝てない。中国が背後にいないとなにもできないわけで、母親がいないと何もできない幼児のみたいなもんです。こんな貧乏なのに軍がミサイルとか核でお金使っちゃって、市井の人はめっちゃ気の毒。こんな国が日本の隣人なんです。

北朝鮮については、日本人はいつまで北朝鮮に我慢すればいいのか分かる本【書評】恐怖の地政学にも書いてあります。

まとめ

  • 北朝鮮が国連から追加制裁されるのはアメリカと仲が悪いから。1950年の朝鮮戦争以降、両国は仲直りしてない
  • ロシアと中国が制裁を骨抜きにしたのは、朝鮮半島でアメリカの勢力が伸長したら困るから
  • 日本はアメリカ側だから北朝鮮から恨まれている

このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
TwitterとFacebookとRSSで更新情報を受け取れます
RSS

最近のエントリー