2017/10/27

自民党は本当に支持されているのか?選挙の制度をよく見るとその裏が立体的に見えてきた

自民党の圧勝だったが先日の衆院選。圧勝したほどの本当の支持を自民党が得ているのだろうか?

朝日と読売の世論調査を見てみよう。朝日新聞が10月17〜18日に行った世論調査では、 内閣支持率は38%、不支持率は40%、安倍首相の続投については、「続けて欲しい」が34%、「そうは思わない」が51%。

読売の世論調査は23〜24日。調査実施の時期が選挙の前後と朝日と異なるが、安倍内閣の支持率は52%。朝日との違いが目立つ。不支持は37%、与野党の議席数については、「野党がもっと議席を取った方がよかった」47%、「ちょうどよい」38%と評価が分かれた。「与党がもっと議席を取った方がよかった」は9%だった。この2つをまとめると以下のようなる。

一目瞭然だが、議席を獲得しているほど安倍さんも自民党も支持されているわけではないことがわかる。小泉政権のときのように熱狂するほどの支持じゃないでしょ。この議席獲得と不支持の乖離(かいり)の違いはどこからくるのだろうか?この原因を明らかにするために日本の選挙制度をおさらいしてみよう。

日本は小選挙区と比例代表の並立

日本では1994年以降、小選挙区と比例代表性が並立している。

大選挙区:1選挙区から2名以上が当選する制度
小選挙区:1選挙区から1名だけが当然する制度
比例代表:政党本位に選挙を行い、得票数に比例させて各党に公平な議席配分を行う。死票をへらし、民意を議会へ正確に反映させる点で、最も民主的な選挙である。
(理解しやすい政治・経済 p103)

日本の今の選挙区は、小選挙区は全国を300にわけ、比例は全国を11にわけ、ブロックごとに人口比例で定数を各政党の得票数に応じてドント式で配分し、比例代表名簿順に当選を決める。ドント式とは各政党の総得票を1,2,3と整数で割り、その商の大きい順に定数まで当選者を決めていく方式のこと。

また、小選挙区で落選しても比例で当選することがある。これが日本の選挙の実態です。以上を踏まえて、選挙結果を見てみましょう。比例区に注目すると、自民党が議席獲得数ほど支持されていないのがよくわかる。

合計だけを見ると自民党が圧勝をしたようにしか見えないけど、自民党がそこまで圧勝したのは比較第1位の候補者が当選するという小選挙区制によるものです。その裏には大量の死票がある。ここで、佐藤 優、井戸 まさえ共著の「小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける」を引用します。

佐藤:小選挙区というのは、政治家の新陳代謝をできなくして、いまの体制を維持するための制度です。1選挙区から1人しか公認を出せないから、誰を出すかというとき、現職優先、前職優先というのが慣例になりますよね。そうすると、よほどのことがないかぎり新しい人は出られないわけです。

井戸:そうですね。小選挙区ではまず「政党内での公認争い」の椅子取りゲームがあり、それに勝たないと試合に出してもらえません。でも、すでに席はほぼ埋まっているので新陳代謝は起こりにくい。

佐藤:〜勝ってしまえば小選挙区ほどいい制度はないんです。

小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける:p214

この引用を読むとわかる通り、今の選挙制度は構造的に自民党に有利なのですよ。そうでないと、あれだけ不人気だった稲田朋美氏の福井1区でのぶっちぎり当選を説明できない。

これに加えてしかも世襲議員が多いのも特徴である。世襲すると地盤がひきつげるし、すごく有利。安定した支持基盤があれば、最初から政治活動に専念できる。どんな素晴らしい技術力をもったIT企業だって最低限の資金がないと研究開発できないでしょ。それが資金があれば安定して開発ができる。世襲議員はそれと同じようなもの。イギリスでは世襲議員とそうでない議員の不公正をなくすために、親と同じ選挙区から出られないようになってるらしい。どの区から出るのは党が決めるみたいです。

この辺のことも「小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける」に書いてあります。勉強になりますよ。

こうやって選挙の構造を見ると、自民党員の当選が相次ぎ、安倍さんがニンマリ様子がテレビで放映されていたが、そこまで自民党が支持されているわけではないのがよくわかる。あくまで構造的な選挙制度のおかげなのです。ここから言えるのは、安倍政権の支持基盤はすごく弱いということ。もし森友や加計のようにまた何か問題があればすぐに支持率は下がるのは明白で、自民党内で安倍おろしが発生するかもしれませんね。

最近のエントリー

おすすめ記事

このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
TwitterとFacebookとRSSで更新情報を受け取れます
RSS

最近のエントリー