2017/10/30

みずほの人員削減の件、銀行員は本当に大きな試練に直面しているのか?

みずほの人員削減のニュースが大きく報道された。それに併せて三菱UFJも人員削減との報道がある。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171025-00000005-zdn_mkt-bus_all

以下のようなツイッターでの書き込みもある。

こういった記事や投稿を見ると、いかにも銀行員受難の時代でITやAIが人の仕事を奪っているように感じられる。はたして本当にそうなのだろうか?そう判断するのは少し尚早な気がする。以下は10/28の朝日新聞の夕刊の記事。これをよく読むと、ある一つの疑問に思い至る。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13203685.html

みずほFGの従業員数はグループで約6万人。例年2千人規模を採用している。今後は大量採用期の退職者増加や新規採用数の調整で、業務削減に合わせて人員をスリム化していく。希望退職などは現時点で検討していないという。

ITが人の仕事を奪うというより、ただの人口減じゃね?

かつて景気が良かった頃に大量採用した人が定年とかで自然に退職していきますよ。今までと同じペースで新規採用はしませんよ。っていうことなんだけど、日本が人口減の局面を迎えている今、それって当然じゃない?つまり、さも銀行員が受難な時代のように感じられるセンセーショナルな見出しだけど、本当にそうなの?ってこと。

なんでこんなにメディアは煽るのが好きなのだろうか?特にネット系のメディアはそういう傾向が強い。それは、とりあえず人の関心をひいて少しでも多くの人に読んでもらえば、自分たちのメディアとしての価値が上がり、収益が上がるからに他ならないでしょう。大したことのない問題を煽って自分の仕事につなげるというのはメディアに関わらずよくあることです。こういった人間の情動的な性質についてはダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」で面白く説明してある。

そもそも報道されるニュースには、新奇性があるとか感情に訴えかけるといったバイアスがかかっている。メディアは大衆の関心を形成するだけでなく、大衆の関心によって方向づけられる。

ファスト&スロー 上巻p246

われわれは感情的な情報や危機感を煽る情報に接ると、ついつい「え、本当?」と動物的に反応してしまう。それが彼らの狙いなんです。フェイク・ニュースなんてその最たるものでしょう。しかし、報道の裏にある客観的な事実やデータを冷静に見ることで、そういう偽情報に踊らされることは少なくなります。

例えば、このみずほ銀行の人員削減について言うならば、希望退職を大量募集するわけではないし、日本の人口減という傾向を押さえておけば、その影響だと冷静に判断できます。そういう判断ができれば銀行勤めの人が「え、わたしやばいかも」と無用に焦る必要はないのです。それでもなお焦るなら、それは普段から仕事で成果を出していないとかさぼっているのが原因で、人員削減が原因なわけではないでしょう。

これからの日本は業界を問わず、就業人口が減っていきます。このトレンドは必ず押さえておいたほうがいい。そうでないと色々な煽りにいちいち感情的に反応することになり、無駄に大騒ぎすることになってしまう。煽るのはメディアだけじゃありません。政治家も「北朝鮮のミサイルが〜」などと煽って、票につなげようとします。

日本の人口減については最近出た「未来の年表」と「縮小ニッポンの衝撃」が面白いです。どちらの本も煽ってきますが(笑)、別に無駄に煽ってくるわけではなくデータに基づいた冷静な分析なので、内容はまっとうです。読むとちょっと絶望的な気分になるかもしれないけど、現実に向き合う必要があると思います。先日の衆院選では人口減については大きな争点になっていなかったように思いますが、政治家は人口減についてどう考えているのでしょう。将来の日本を考えるなら、絶対に避けて通れない問題なのです。

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このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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