2013/05/15

統計学が最強の学問である

刺激的な題名の本だ。統計学の入門書であると同時に、統計学に触れたことのない人に対して振り向かせるような題名である。考え方として統計学のフレームワークを身につけるのはビジネスにおいてとっても大事なので、本書を読めば勉強にはなるだろう。

力のこもった前半

「あみだくじ必勝法」とか疫学を例にして統計学の重要性を説く本書の前半は力がこもっていて、とても読みやすい。私も一気に100ページくらい読んでしまった。

統計学さえ知っていれば不確実性のある状況下においてちょっとしたズルを行うことができる p6

あみだくじで必ず勝つのは確率からして不可能だが、統計学を抑えておけば、いつもテキトーにあみだくじをするより、高い確率で当たりを得ることができる。

これをビジネスに応用すると、以下のような事例があるとのこと。

これまで漫然と送っていたダイレクトメールについて「どういった顧客には送り、どういった顧客には送らないか」といった選択を最適化することによって売上をほんの6%ほど上げるやり方がわかった。p6〜p7

19世紀のロンドンでコレラを抑えた疫学は統計学に基づいた発想だった

直接の原因が分かっていない状況で、コレラの感染が広がるのを抑えるのに学者が調査したことは、以下のようなものだった。

  • コレラで亡くなった人の家を訪れ、話を聞いたり付近の環境をよく観察する
  • 同じような状況下でコレラにかかった人とかかっていない人の違いを比べる
  • 仮説が得られたら大規模データを集め、コレラの発症/非発症と関連していると考えられる「違い」について、どの程度確からしいか検証する。

このフレームワークを身につけるだけでも、いきあたりばったりで物事を進めるよりよほど効率的に仕事ができるようになるだろう。

だいたい150ページくらいまでは統計学における細かい注意点が面白い事例と共に紹介される。「ミクルティーはミルクが先か、紅茶が先か?」とか、「テレビゲームと子供の暴力は因果関係があるか?」など楽しみながら読み進められる。

冗長になる後半

さて本書は前半は悪くないのだが、だんだんと冗長になってくる。後半になると統計学の具体的な式や表が増えて、数学的な知識がないと読むのが辛くなってくる。

勉強と割りきってノートとペンを持って勉強すればいいが、多くの読者はそんなことを想定して読んでいないだろうし、面食らう感じがする。後半に関しては演習を伴う統計学の教科書と思って接すればいいだろう。数学の知識がある人は普通に読めばいいだろうが、それでも冗長な感は否めないと思う。

まとめ

悪口で終わると読む気がしないだろうから、この本を有効に活用する方法を私なりにまとめると以下のようになる。

  • 前提として統計学の入門書として読むこと
  • 前半で統計学の重要性を学ぶ
  • 後半でノートとペンを片手に勉強する

この方法でしっかり本の内容を身につけて、ビジネスへの応用ができるようになれば充分活用できた言えるだろう。

このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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