2015/12/10

料理本のレシピ通りにやって失敗する理由

料理本の通りにやっているのになぜかうまくいかない。こんな経験はないだろうか。
料理本を買って意気揚々と美味しいご飯を作ろうと材料を用意した。慣れないながらもレシピに忠実に作った。時間はかかったが、やっとできた。
そしていざ食べたら、あまり美味しくない。むしろまずい。おかしいなぁ。材料はグラム単位でぴったり、順番もあってる。タイミングもきっといいはず。何が悪いのだろう。
こういう場合、うまくいかないのには必ず理由がある。料理本に欠陥があるのでも、あなたが特別に下手なわけでもない。結論から言うと文脈を読めということなのだが、これだと分かりづらいので詳しくみていこう。

目次

  1. 料理本で大事なことは行間に書いてある
  2. 文脈を読む力を身につけるには

料理本で大事なことは行間に書いてある

著者が本当に伝えたい大事なことは、当たり前過ぎてわざわざ書いてないことがある。これを文脈とか、英語だとコンテクストと言う。
よく言われる「行間を読め」も同じ意味だ。といっても行間にいくら目をこらしても、小さい文字で大事なことがひっそり書かれているわけではない、当たり前だが。

レシピ本とか料理本を出すほどの料理人なら経験は豊富である。料理人は早いと10代でその道に足を踏み入れる。長い下積みを経て厨房で素材に火入れをしたり、ソースを作るようになるようだ。詳しくは知らないが、一般企業でよく話題になる「残業代」とか「ブラック企業」とか言う概念は存在しないようなすさまじい体育会系の世界らしい。

そんな厳しい環境で朝から深夜まで、酷暑酷寒のなかひたすら1年中料理をしているので、どうすれば美味しくできるか?という経験が蓄積されて体に染みついていく。例えば「今日の温度と湿度なら、この肉の火入れはこれくらいの強さで、これくらいの時間だな」というような極めて複雑なプロセスが経験豊富な料理人なら分かるのである。

料理本の文脈の話に戻ると、いくら優れたレシピ本であっても、その日の気温(室温)とか、素材の鮮度、温度にまでは言及していない。
当然そんな細かいことまで書けないからである。レシピ本を書く料理人からすると、体に染み付いているような当たり前のことをわざわざ書くことはない、という事情があるのだ。これが文脈である。
重要なのだが、わざわざ書いていないわけだ。私流にこういった文脈を解釈するなら、料理本の通りにやってうまくいかないなら、それは経験や練習不足なのだからもっと練習しろ、という著者(料理人)のメッセージということになる。

モーツァルトを上手に弾くには

料理を見て料理をして、うまくいかない。これは楽器の演奏と似ている。バッハでもモーツァルトでもベートーヴェンでも何でもいいのだが、ある作曲家のピアノ曲を楽譜を見て弾くとする。楽譜通りに弾くがなんとなく納得できる演奏ができない。
これはピアノをやっている人なら分かるだろう。古典派の演奏の約束事は楽譜には書いてない。そもそも腕前が良くなければ楽譜通りになんて弾けない。
料理も同じである。基本的な技術がないのに料理本に忠実にやっても、それはできたことにならない。「忠実に料理したつもり」でしかない。

文脈を読む力を身につけるには

行間を読めるようになるには本をたくさん読むのがてっとり早い。そして次に自分で文章をたくさん書くこと。
もちろん文脈を込めて文章を書く。たくさん書けば書いている人の気持ちが分かるようになる。そういう状態で本を読めば、隠された行間を読み取る力は向上するはずである。
注意する点は、読書、作文という順番が重要なことである。基本的な読書量が足りない人は、基本的な知識が不足し、優れた文章の基準が分からず、数学やコンピュータプログラミングでもやっていない限り論理力も足りない可能性がある。
こんな状態でひたすら文章を書くのは無意味などころか害悪しかない。だから先ずは読書に専念するといいだろう。

何を読むか

「何を読めばいいか分からない」。こんな声が聞こえてきそうである。ある程度読み応えのある名著とされている本を300冊も読めば、けっこう力はつくだろう。あまり難解すぎない古典なら申し分ない。一方で、「必ず儲かる○○のテクニック」とか「○○が9割」みたいな薄っぺらい本を100冊読んでも文脈がつかめるようにはならない
おすすめは小説なら夏目漱石。哲学ならプラトン、アリストテレス(やや難)。論理の力をつけるなら野矢茂樹さんの著作などがおすすめ。
プラトンの哲学とかいうと難しい印象を受けるかもしれないが、決して難解ではない。単に食わず嫌いで読んでいないだけならぜひ読むことをおすすめする。

多読によって文脈を読み取る力を養えば、料理本の行間も読み取れるようになる。もちろん料理も上達するだろう。少なくとも、単純に「この通りにやれば美味しくできる」などという安易な発想をする間抜けな状態から脱することができるようになる。

参考までに、プロの料理人が同じようなことを言ってます Facebookの投稿

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このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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