2014/10/23

いじめについて考える本1「女盗賊プーラン」

定期的に発生するいじめ自殺。最近はあまり報道をきかないが、いじめがなくなることはない。いじめ確かに学校でいじめられるのはつらい。些細なことでいじめたり、いじめられたりする。
これは子供の世界だけでなく大人の世界でも同じなのは歴史が証明している。「いじめ」というテーマを軸にして選んだ今回紹介する本には、いずれも想像を絶する厳しい体験が綴られている。こういうのと比べると、大抵のいじめは全然たいしたことがないと分かる。
だから、こういう本を読んでいじめの世界の疑似体験をすることで、いじめられる人の気持ちを想像できるようになったり、いじめる人の内在論理が分かるようになる。そうすれば安易に人をいじめたり、いじめられて簡単に自殺したりなんてことも少なくなると思う。

今年は第一次世界大戦の引き金となったサラエボ事件から100年という節目の年。このサラエボ事件、元はと言えば、強いオーストリア帝国が弱いボスニア・ヘルツェゴビナを占領したのがきっかけ。
いわば弱いものいじめが発端となって、悲惨な戦争へと至ったわけで、いじめについて考えるにはいい機会だろう。紹介する本は以下の通り。全てを同時に紹介すると長くなってしまうので、回を分けて紹介していく。

いじめについて考える本

  1. 「女盗賊プーラン」
  2. 「野中広務 差別と権力」
  3. 「生かされて」と「旧約聖書」

女盗賊プーラン

最初に紹介する本は「女盗賊プーラン」。上下2冊に分かれている決して短くはない物語だが、面白いので一気に読める。

インドの極貧の村で生まれ育った少女プーラン・デイビーの自伝。家の壁が土とか乾かした牛の糞を固めてできているというような日本では想像もできないような貧しさ。
低いほうのカーストの家に生まれたプーランは、11歳で結婚させられ、嫁ぎ先でさんざん虐待される。以上の記述だけで不幸さMAXが伝わると思うが、この絶望的な環境から自伝は開始し、自伝の最後まで悲惨な人生が続く。カーストとか土の壁というと昔の話と思うかもしれないが、プーラン・デイビーは1958年生まれ。遠い昔の出来事ではないの。

さて11歳で結婚を強制され、あまりのひどさに逃げ帰ってきたら次は村の金持ちにいじめられるようになる。誰の持ち物でもないはずの村の共同井戸を使わせてもらえず、自宅で、しかも両親の目の前でレイプされ、次にあらぬ盗賊の疑いをかけられ警察に捕まり、当然のごとく警察では散々虐待されやがて裁判にかけられる。
なんとか無罪になるが弁護士費用の工面で苦労し、裁判のせいで狭い村の中で白い目で見られていじめられ、ついに本物の盗賊に誘拐される。

世界中のすべての不幸を一身に背負って生きているかのような絶望の人生。誘拐された時点で15〜16歳ほどである。
盗賊に誘拐されたプーランはこれまでの閉鎖的な村を出ることになるのだが、これがきっかけで彼女の人生は少し違う方向へ進んでいく。詳細は実際に読んで確認して欲しい。

プーラン・デイビーは稀にみる精神の強さを持っていた。それがために最悪の虐待を生き抜け最終的に政治家になり、そしてこの自伝を残すことができた。この本で一番暗い気持ちになるのはプーランの不幸さより、自分の虐待状況を世に伝える術を持たない弱い立場の人々がいるということが文脈にあるということだ。

プーランは低いカーストではあったが、「最底辺」のカーストではなかった。「最底辺」のカーストを匂わす関する記述が少しだけこの本には出てくるので、読む際はそこにも注意して読んで欲しい。

このブログの筆者

早川朋孝
早川朋孝
ネコ好きな読書家。
月一冊は専門書を読むのが目標。年間読書計画はだいたい決まっているが、だいたい横にそれるのが悩み。好きな作家は塩野七生さん、佐藤優さんなど。タバコ嫌いで、ちょい右寄りです。

仕事はウェブが専門。学生の頃よりウェブ制作に従事し、CMSの提案やアクセス解析が得意。上場企業や、東京オリンピック関連サイトなど大規模ウェブサイトのプロジェクトを多数経験。仕事のウェブサイトはこちら
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