Webは用いる人のリテラシーで決まる 文系出身ITエンジニアの自分で考えるブログ
Twitter Facebook
TOP > BLOG >

ラゾーナ川崎は川崎の本当の姿じゃないよ。川崎のダークサイドを紹介する『ルポ 川崎』

書評・読書ノート

ショッピングモールとして大成功しているラゾーナ川崎によく行く人も多いでしょう。でもラゾーナは川崎の本当の姿じゃないです。本当の川崎はもっとすごい。もっとダーク。ディープな川崎を知りたいなら、うってつけの本があります。今回は前回紹介した『西成ルポ』に続き、『ルポ 川崎』を紹介します。こういう本を読むと、電車でオフィスに通って仕事をしているだけだと絶対に気づかない現実を知ることができます。

ルポ川崎

最近ニュース番組などで幼児虐待が報道されることが多いですが、そういうニュースを見るたびに「なんで幼児虐待なんかするんだろ、信じられん」と思う人多いでしょ。そう、それが普通の感覚なのですが、一方的に自分の感覚で他者を断罪しても何も現実は変わらないでしょう。虐待してしまう人にはその人なりの言い分とか境遇というのがあって、それを知るにこしたことはないと思うのです。

実はけこうアレな川崎

川崎といえば今はラゾーナ川崎という三井の大型ショッピングパークで大成功しているモールです。買い物はもちろん、映画、スポーツクラブ、大型の本屋、料理教室などがあり、平日も賑わってます。ラゾーナ川崎は2006年開業らしいのでもう13年目にもなります。最近は大掛かりな改装が終わったばかり。読書家のわたしは、川崎は近所のためラゾーナの丸善によく行きます。『ルポ 川崎』もラゾーナで買いましたw どうでもいいけど、本を買った後に丸善カフェに行き、そこで北海道ぜんざいソフトクリームを食べながら本を読む時間は最高です。丸善のソフトクリームはまじ絶品ですw

北海道ぜんざいソフトクリーム

ラゾーナに行くとわかりますが、家族連れや若い人がたくさんいます。なんですが、その中にちらほらと「あれ?」ていう人を見かけます。差別するつもりはないですが「あまりショッピングモールにいるのが似合ってないなぁ」という雰囲気の人たちです。ちょいちょい見かけます。そこで抱く疑問は、その人たちがどこから来ているのか?です。答えは簡単で、地元川崎の人たちです。そう、川崎はそういう土地柄なのですよ。駅前のきれいなショッピングモールを見るだけでは分かりませんが、川崎はそういう土地なのです。

私は川崎駅の隣の横浜市鶴見区で育ち、子供のときから20歳になるくらいまで、川崎のチネチッタという映画館によく行きました。また親戚が武蔵溝ノ口に住んでいるので、やはり遊びに行った記憶があります。30年くらい前の記憶は、武蔵溝ノ口の駅前は水商売の客引きだらけで、その中を母親に手をひかれて歩いた光景をおぼろげに覚えています。チネチッタに関しても、そこだけがスポットではきれいだけど、少しでもはずれるとけっこうすごい。今でもそうかもしれない。そう、川崎はそういう土地なのです。

余談ですが隣の蒲田もそうとうすごい。京浜地区は東京湾に近くなるほど工場が多く、すごい雰囲気になります。これは電車を乗り比べるとよくわかります。海に近い京急電鉄はいちばん汚い。乗ってる人の雰囲気もけっこうすごい人がいる。駅前もすごい。ほんの少し内陸になる京浜東北線になると少しましになり、次に東急東横線、田園都市線と海から離れるにつれ、きれいな別世界になります。京急とか京浜東北線だとデフォルトで電車内に一人いる変な人が、東横線では一人もいない。そんな感じ。

川崎のダークサイド

川崎と京浜地区の現実を少しはわかってもらえたかと思います。ラゾーナのきれいな側面しか知らない人にはちょっとショックかもしれません。興味がある人は実際に上記の電車の乗り比べでもしてみてください。遠方の人はGoogle Mapで駅前の雰囲気でも見てください。

さて、ここからは川崎のダークサイドについて集中的に述べます。川崎といえば、記憶に新しい3つの事件があります。2015年の多摩川沿いの中学生リンチ死亡事件、簡易宿泊所の火災、老人ホームアミーユの暴行事件です。どの事件も散々メディアで報道され、「川崎ってすごいな」と思った人も多いでしょう。上記の通り東京湾に近くなるほど、すごい世界になるようです。工場労働者が多く、また海外から移住している人もけっこう多いみたい。川崎は労働者が「飲む、打つ、買う」街で、そういう店がたくさんあります。川崎駅東口の目の前の商店街を5分も歩くとキャバクラだらけになり、そのエリアから北には吉原に次ぐ規模の色街の堀之内もあるし、市役所から少し歩けば川崎競輪場もある。というわけでこのエリアの中学校が荒ているのは想像に難くない。

『ルポ 川崎』には川崎育ちのラッパーが出てくるが、彼らの出身がまさに海よりの地域。『ルポ 川崎』には彼らラッパーの思い出話がたくさん出てくるが、その証言が生々しい。大抵の人には未知の世界です。本書からいくつか引用します。

彼らは、ラップを通して、川崎の外にも世界が広がっていることを知ったのだった。

「これまで、自分らのテリトリーは川崎駅までだったんですよ。そこを一歩でも越えると、感覚としては”外”になる。ラゾーナ(駅ビル)の奥にドンキがあるんですけど、そこすら行かない。家から10分、15分とかで移動できる場所がコミュニティで、輝ける場所。いくら不良として名が通ってたといっても、橋を渡って、大田区とか鶴見とかに行ったらもう自分の名前なんか利かなくなる。でも、今だったら沖縄に行っても北海道に行っても名前を知ってくれてる人がいる。視野も広がりましたよね」

p57

「悪さをするようになってからは、警察に追われてても原付で池上にまで帰ってくれば、まけましたね。パトカーが入ってこれないんですよ」

そのとき、角から子どもが飛び出してきた。いつかのBarkも、こうして遊んでいたのか。「家は貧乏ですね。クリスマス・プレゼントとかもらったことないですもん。小さい頃、親に『サンタなんていないよ』って、はっきり言われましたから」

P71

拓巳「喧嘩に負けてボロボロで帰ったら、もう一回、行かされますからね。みんなに『何やってんだ』ってゴルフクラブとかバットとか、武器を持たされて。で、『気合入れろ』ってビール飲まされて」

そのような環境の中で、彼らはいわば不良の英才教育を受けて育つ。

拓巳「中学の入学式なんか、親父が頼んでもないのに改造制服を買ってきて。ただ、子どもだし抵抗あるじゃないですか。先生に怒られるかもしれないし。それで、普通のヤツで行ったら、逆に、『お前、なんであれを着て行かないんだ』って親父に怒られるっていう」

p105

どう?電車通いのオフィスワーカーにはなかなか刺激的でしょう。他にも、家で身体売ってる商売をしている女の人が母親で、父親はそのお客さん、当然会ったこともない、みたいな話も出てきます。すげーぜ川崎。こういう川崎に興味がある方、ラゾーナばかり見てないで、東口にディープな店や商店街にもぜひ足を運んでみてください。新しい発見があるかもしれない。

  • おすすめ度★★★
  • お買い得度★★★
  • 読み応え度★★
  • 一気読み度★★★

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年ウェブ運用が専門のITエンジニアです。サーバー保守やアクセス解析などフロントからバックエンドまで何でも対応します。データと科学的エビデンスを重視し、月140時間は読書します。ウェブ業界の裏側や読書で学んだこと、社会的なことなどをブログ記事にします。ネコ好きなタバコ嫌いで、明治学院フランス文学科卒という文系出身のエンジニアです。マリノスファン。

facebookへ
PAGE TOP