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川崎の刺殺事件を受けて思った。子供を守るなら不慮の事故より受動喫煙対策を優先すべきなのが統計をみれば明らかだ

2019年05月29日 社会時事ネタ
川崎の刺殺事件を受けて思った。子供を守るなら不慮の事故より受動喫煙対策を優先すべきなのが、統計をみれば明らかだよ

聖マリアンナ病院の医師をしている知人がいるので質問をしたところ、登戸の刺殺事件で5/28は修羅場だったとのこと。ま、そりゃそうだよな。。。亡くなった方とその遺族、また現場で苦労をしている人のことを思うとは怒りしかない。

この事件に関して5/29の朝日新聞と読売新聞の朝刊をそれぞれ読んだところ、容疑者に関する記述が子供の頃しかないのが気になった。新聞社の取材が恣意的なのか、それとも取材した結果本当に子供の頃のことしか得られなかったのかは分からないが、もし後者だとしら本当に孤立した人だったということになる。だって成人後の情報を知っている人がいないわけだから。

日本人の死因

それはさておき、最近は池袋の交通事故、大津市の交通事故、今回の刺殺事件など悲惨な事件や事故で子供が相次いでなくなる報道が続いている。これだけ報道が加熱すると当然「子供をどう守るか」みたいな議論が出てくる。ま、自然な反応だと思うのだが、ここは敢えて冷静に日本人の死因に関する統計データを見てみる。元データは厚労省の人口動態を参照する。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/h6.pdf

日本人の死因

データを見れば分かる通り、日本人の死因は1位はがんだ。がんが原因で亡くなる人はぶっちぎりで1976年から継続して上がり続けている。平成29年と平成28年のデータを見るとどちらの年も全死亡者約130万人のうち、がんが原因でなくなった人は約37万人で割合は27.84%と28.52%だ。次に、心疾患が約20万人、脳の血管が約11万人、肺炎が約10万人というように続く。そして上の表を見れば分かる通り、いま世間を騒がせている交通事故と他殺による死亡者数は上に挙げた病気と比べると圧倒的に少ないのが分かる。交通事故は0.37%、他殺にいたっては0.02%だ。

次にがんの原因を見てみる。これについては国立がん研究センターのウェブサイトを参照する。見れば分かる通り原因はタバコだ。たばことがん もっと詳しく知りたい方へ:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]をに書いてある通り、タバコとがんには明白な相関関係がある。ここまでのデータを整理する。

  • 日本人の死因の1位はがん
  • がんの内訳で1位は肺がん
  • 肺がんの原因はタバコ

別に喫煙者ががんにリスクを承知の上で自宅でタバコを吸うのはその人の勝手だ。人間には愚行権があるから、タバコを吸うこと自体は問題ない。問題は吸いたくないのに嫌でもタバコの煙を吸わされる受動喫煙だ。歩きタバコやら公共の場で臆面もなくタバコを吸う輩のせいで、タバコを吸いたくない人の健康が脅かされれていることだ。なんの仕切りもない駅前の喫煙所の前を、ベビーカーをひいた母親が足早に駆け抜けていく光景とか見たことないだろうか。喫煙所をもうけるなら完全に外部と遮断すべきでしょ。あるいは、通学路だろうとお構いなしに歩きタバコをする人を見かけたことはないだろうか。こういう公共性の欠如した人によって子供の健康が脅かされているのは明白な事実だ。だから歩きタバコは法律で禁止すべきでしょう。

どうやって子供を守るか

以上をふまえた上で「どうやって子供を守るか」という問題について考えると、極めて事例の少ない突発的な凶行に神経を尖らせるより、タバコの煙から子供を守るほうが断然優先すべきと分かる。そもそも突発的な凶行はふせぎようがない。それについて考えたり、仮に対策をたてても社会的コストが上がるだけで大した効果は見込めない。それならば、明らかに子供を脅かすタバコの煙の対策を優先するほうがはるかに効率がいい。

「がんになる子供なんているのか?」という声が聞こえてきそうなので、より厳密を期すために年齢別の人口動態データも見てみる(参照は平成29年のデータ)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/h7.pdf

日本人の子供の死因

当然ながら大人にくらべればがんの絶対数は少ないが、それでもがんは子供の死因として大きな割合を占めている。この表にある子供がん死亡者数のうちどの程度がタバコが原因かまでは正確には分からないが、少なくとも設備の設置に費用も時間もかかりそうな交通事故対策や、防ぐこと自体が不可能に近い凶悪犯罪対策よりも、公共の場におけるタバコの煙から子供を守るほうが「どうやって子供を守るか」という観点からするとずっと優先すべきと考える。がんとタバコの相関関係について改めて国立がん研究センターのウェブサイトより引用する。

これまでの研究から、たばこが肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となることが、科学的に明らかにされています。また、たばこを吸うと、本人だけでなく、吸わない人にも健康被害を引き起こします。 がんを予防するためには、たばこを吸わないことが最も効果的です。現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってがんになるリスクを下げることができます。

国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco01.html

そして受動喫煙による推定死亡者数は年間1.5万人という研究もある。こちらも国立がん研究センターによる。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000130674.pdf

こういった情報を総合すると、スクールバス乗り場、幼稚園の周辺、駅前、病院など小さいこどもがいる可能性のある公共の場所はすべて禁煙にすべきだと思う。特に歩きタバコは厳罰にすべきでしょ。誤解しないでほしいがタバコを完全禁止にすべきと言ってはいない。公共の場所での喫煙を制限すればいいというのがこの記事の趣旨だ。選挙で受動喫煙防止の強化や歩きタバコの厳罰を公約にする人がいれば、わたしは全力で支持する。

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年ウェブ運用の専門家です。データ分析やシステム導入の提案などをガッツリやってます。まっとうな情報のインプットとアウトプットを地道に継続することに重きをおいていて、月140時間は本を読みます。ワインとクラシック音楽とネコをこよなく愛し、タバコとトンデモ・ニセ科学は嫌い。明治学院フランス文学科卒。

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