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日本代表は本当に強くなったのか?検証するために過去のワールドカップにおけるAFCの成績を調べてみた

2018年07月12日 時事ネタ

ベルギーに逆転負けしたサッカー日本代表の試合を見て、「日本は強くなったなぁ」と感じた人は多いと思う。私も今回のロシアワールドカップでの日本の戦いぶりは、ポーランド戦を除けばとても面白いと思った。

日本以外のアジアのチームを見ると、イランがグループリーグでスペイン、ポルトガルと同じ組ながら勝ち点4をとり、韓国はドイツに2-0で勝った。

報道では「次のワールドカップでは念願のベスト8」という声を見かけるが、果たしてそんなに簡単にいくのか。そもそも予選を勝ち抜かないといけないし、ワールドカップでベスト8になるほど日本は本当に強くなっているのか。また、アジアのチームはどの程度強くなっているのだろうか。

そこで、過去にアジアのチームが出場したワールドカップにおけるアジアチームの全成績を調べてみた。そしたら面白い事実が判明したよ。

このグラフはワールドカップの大会ごとのAFCの得点と失点の平均。「平均」と言っても1954年のアジアの参加国は韓国のみで、2試合で16点も取られたし、1966年は北朝鮮のみ、1978年はイランのみ、1982年はクウェートのみ、そして1986年〜1994年の3大会はアジアからの参加国は2か国のみ。1998年以降にようやくアジアからの参加は4か国に増え、そしてその恩恵で日本も出場できるようになり、ここでようやく「平均」の意味が出てくるようになった。

グラフを見てわかる通り、ぶっちゃけほぼ横ばいのまま。今回の2018年ロシア大会では得点が増え失点が減っている気がするが、大会ごとに得点が多いとか少ない傾向にあるなどの平均もあるから一概に言えない。

次のグラフは、ワールドカップにおけるAFC以外のチームの平均得点とAFC加盟国の平均得点を並べたもの。基本的に両者のグラフがくっつくことはなく、差が縮まっている様子はない。多少でこぼこはあっても、長い期間で見るとほぼ横ばいです。

こういうデータを見ると「次こそベスト8」みたいなの声は妄言だとわかる。日本はそこまで強くないです。こう書くと「グラフはあくまでAFCの平均だから、日本のデータを正確に反映してない」という反対の声が聞こえてきそう。しかし、日本代表が真剣に戦う機会は、ワールドカップを除けばアジアカップとワールドカップ予選しかない。南米やヨーロッパとの真剣な試合はワールドカップの本番でしか戦う機会がない。コンフェデ杯もあるが、ワールドカップほどガチじゃないし、出られる保証がない。(もちろんワールドカップもだけど)。

こういう現実を見ると、アジアで日本だけが強くなるなんてのはムシが良すぎる発想で、やはりアジア全体のサッカーのレベルが上がらないとなかなか日本も強くなれないでしょう。でもデータが示すのは、まだまだアジアのサッカーレベルはヨーロッパ、南米には及ばないのが事実。ベスト8の壁はまだまだ高いだろうなぁ〜。もちろんこの予想が裏切られることを期待してるけどっ!

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年ウェブ運用の専門家です。データ分析やシステム導入の提案などをガッツリやってます。まっとうな情報のインプットとアウトプットを地道に継続することに重きをおいていて、月140時間は本を読みます。ワインとクラシック音楽とネコをこよなく愛し、タバコとトンデモ・ニセ科学は嫌い。明治学院フランス文学科卒。

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