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体操パワハラの件、塚原千恵子本部長の正体

2018年09月04日 時事ネタ

塚原本部長って、初めてみた時、誰かに似てると思った。誰だろう?うーん、どこかで見た。どこだろう?

このデカさ、ふてぶてしい感じで、直接の知り合いではいないけど、絶対どっかで見た気がする。で、思い出した。






ビッグマムだ。ワンピースに出てくるビッグマム。


どーんって感じです。塚原本部長強そう。ビッグマムより強いかもしれん。うーむ、ビッグマムに失礼だったか。いや実際に強い権力を持っているらしい。

後を絶たない閉鎖空間における不祥事の曝露

冗談はさておき、財務省、文部省、ボクシング協会、東京医科大、相撲協会、日大アメフト部、これらの名前を見れば大抵の人はすぐピンとくると思うけど、そこに日本体操協会が加わりました。まだまだ他の団代も加わりそうですね。さて、体操パワハラの件はけっこう複雑なので、事実関係を整理してみるよっ! 情報ソースは8/31の朝日新聞の記事。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13658191.html

  • 宮川紗江選手が塚原千恵子・女子強化本部長からパワハラを受けたと記者会見
  • 日本体操協会は第三者委員会を設置し調査することを決定
  • 宮川選手のコーチだった速見佑斗氏は以前、宮川選手に暴力をふるった
  • 宮川選手はコーチに暴力を振るわれたが、そんなに気にしていない
  • 塚原夫妻の体操協会における権力は絶大
  • 塚原夫妻の運営してきた朝日生命体操クラブは多くの選手を輩出してきた
  • その後9/2に塚原夫妻が宮川選手への謝罪文を発表
  • 塚原夫妻が宮川選手への正式謝罪の申し入れ

各種報道を見ると、若い宮川選手を著名な元選手や協会は擁護していて、塚原本部長包囲網はちゃくちゃくと進んでいる感じを受ける。しかし長年権力の椅子に座ってきた塚原千恵子本部長はそんな包囲網なんてどこ吹く風といった感じで、典型的な悪役ですね。以下の記事「黙ってないわよ」って、すごい見出し 笑。
https://www.nikkansports.com/sports/news/201808300000826.html?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=20180830-00315344-nksports-spo

池谷幸雄氏がここぞとばかりに塚原氏のことを曝露するってことは、よほど不満がたまってるのでしょう。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180830-00000071-dal-spo&pos=4
森末慎二氏も同じく。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180830-00000069-sph-spo
他にも著名な体操元選手はこぞって宮川選手の味方を宣言している。

非対称性

こういう時、勇気を振り絞って声を出したか弱き被害者と、強い権力がある人の言い分は真っ向から対立するのが世の常。そして権力者は告発に対して「そういうつもりの発言ではない」とか「文脈が抜けている」というのが定番です。しかし風向きが悪いと悟るとしぶしぶ謝る。

こういう対立で目立つのは両者の非対称性です。テレビ朝日の記者にセクハラした財務省の福田前次官も「セクハラの認識がない」と当初は言っていたが、世間はそうとはみなさなかった。最終的にはいやいや謝罪し、早期退職で幕切れとあいなった。

今回の体操の件も同じです。同じ出来事を、同じ発言を、対立する両者は正反対に捉えていますよね。それぞれの言い分を聞くと、宮川選手の言い分は本当っぽいし、一方当初「黙ってないわよ」と言った塚原本部長も、「パワハラではない」と思っているのは少なくとも本人にとっては真実だろう。つまり、どちらも嘘をついていないのですよ。こういうことが起きると、私たちはどちらか一方が嘘をついているとか、ついていないとか、原因を単純に求めてしまうけど、現実はそんなに単純じゃないのです。

千恵子本部長の夫の塚原光男氏は以下のように言っている。

「自分が指導者になってから44年間、ずっと選手のためを思って指導や発言をしてきた。宮川選手に対しても、もちろんそれは同じ。もしその思いが伝わらなかったとしたら残念だ。調査には全面的に協力したい」

この言葉からわかるのは、対立する両者は同じ世界にいながら、実はまったく違う世界で生きているってことです。真実は一つではなく複数あると言い換えることができます。このように世の中は複雑なのですよ。

通用しないローカルルール

ちなみに嘘をついているわけではないであろう塚原夫妻がその後謝罪に転じたのは、単にこのままだと損すると判断したからに過ぎないでしょ。いずれにせよ第三者委員会の決定が、世間いっぱんの感覚を代弁することになるでしょう。それが良い悪いってことではなくて、そういう世の中なのです。閉鎖空間におけるローカルルールが通用しなくなりつつある。

この調子だと大学とか、医者とか、なんとか協会のような閉鎖的なローカルルールが次々に白日の下に晒されるだろうね。ただ、私はそれに反対です。例えば相撲協会とか芸能界のような極めて特殊な世界があるけど、そういった特殊な世界で不祥事があったからと言って、それを一般人の感覚で断じるのってどうよ、と思ってしまう。

だって、コーチに暴力を振るわれた宮川選手は、そのコーチを慕っているわけでしょ。こんな複雑な問題って外部の人がわーわー口を挟む問題ではなく、自浄作用が働いてまっとうな団体になるのが望ましいのでは?

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年ウェブ運用の専門家です。データ分析やシステム導入の提案などをガッツリやってます。まっとうな情報のインプットとアウトプットを地道に継続することに重きをおいていて、月140時間は本を読みます。ワインとクラシック音楽とネコをこよなく愛し、タバコとトンデモ・ニセ科学は嫌い。明治学院フランス文学科卒。

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