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退職代行を依頼するのはどんな人たちか

2019年03月29日 社会時事ネタ

朝日新聞を読んでいたらこんな記事が出てきた。「辞めます」が言えなくて 退職代行、頼む人たちの事情」
https://www.asahi.com/articles/ASM2F6Q7KM2FPTIL02R.html
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190325-00000054-asahi-soci
これを読んで「なんで自分でやめられないのだろう?」という人多いでしょう。私もそう思います。そこで、気になったので記事をよく読んでどんな人が退職代行サービスを利用するのか、そして退職代行サービスとはどんなものなのかを調べてみました。

退職代行のマーケットはどれくらいか

まずどれくらいの退職代行マーケットがあるのか気になるところ。「退職 代行」でGoogleで検索したところ広告が出てきます。競争率も高い。つまり退職代行を依頼する人も、依頼される業者多いことを意味する。「退職 代行」は他に競争の多いキーワードの市場と比較してみると、決して多いわけではないけれど、かといって小さいわけでもない。要は一定のマーケットがあるということですよ。すくなからず退職代行を依頼する人が世の中に存在しているのです。

実際に記事にあった業者のウェブサイトを見てみよう。
https://www.taishokudaikou.com/
EXITという会社のウェブサイトを見ると、すぐ辞めたい弱気な人には魅力的に映るであろうキャッチコピーが並ぶ。まず「自分でやらないから、うまくいく EXITでスピード退職」とつらい状況からすぐに逃げられるメインのキャッチコピーがあり、次に、「上司・同僚と合わない」「残業がつらい」「給料が低い」と職を転々とする人に共通する愚痴みたいなのが並んで笑える。

視覚的に見えるキャッチコピーとは別に、ウェブサイトにはページ全体の内容を要約するdescriptionという設定があるのですが、それを見ると以下の通り。

明日から会社に行かなくてもOK!即日対応、退職成功率100%、ご相談は無料です。「自分で言い出せない」「出社せずに辞めたい」退職代行イグジットが全て解決いたします。退職金や有給休暇の確認、失業保険の給付に必要な離職票や雇用保険被保険者証の確認もお任せください。EXIT株式会社は気軽に退職できる社会の実現を目指しています。

以上見てきたキャッチコピーから、この会社の見込み客は明らかにちょっと気弱な人をターゲットとしていますね。気になる料金は正社員の退職代行は5万円、アルバイト・パートで3万円です。ちなみにクレジットもOKみたいw アルバイトで3万円って大金だと思うけど、3万円払ってまで退職を代行してもらいたい人がいるのですね。仮に時給1000円として8時間労働で3日+6時間は働かないと稼げない大金ですよ。

厚生労働省の統計データを見てみよう

さて、もう少しデータを見たいところなので次に厚生労働省の統計データを見てみます。ただし、報道などでご存知の通り厚生労働省の勤労統計データは不正だらけ。いっとき朝日新聞は連日のように勤労統計不正について1面で報じていたくらいです。なので、データとしてはあまりあてにならないですが、だからといって他に参考するに足るデータもないのでしぶしぶ勤労統計データをベースにします。このデータは色々な世代ごとの離職率やら、退職理由やら様々な種類があるのですが今回は厚生労働省の毎月勤労データを使います。他にも色々なデータがあるので、興味があるひとは厚生労働省のウェブサイトを見てみてください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1c.html

さて、毎月勤労データを見るといくつかの傾向がわかります。まず、若い人の離職率が高い。ここで言う若いとは30歳以下です。そして若いほど離職率が高い。ま、ここまでは当然だからいいとして、注目すべきは辞めた理由です。データから読み取れる傾向をいくつかピックアップしてみます。

30歳未満の男性が離職する主な理由

  • 1位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった 18.9%
  • 2位:給料が低い 13.4%
  • 3位:仕事に興味がもてない 10.8%

30歳未満の女性が離職する主な理由

  • 1位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった 20.3%
  • 2位:給料が低い 15.3%
  • 3位:人間関係 12.4%

1位の「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」は要は「仕事がきつい」ってことでしょ。だって入る前に労働条件の提示はあるはずだから。つまり若い人の離職理由は「仕事がきつい」がダントツなのです。そして2位も男女共通で「給料が低い」。若いうちは経験も浅く会社への貢献度が低いので給料が低いのは当たり前なのですが。。。それが不満なら英語をマスターして外資のコンサルとか金融にいけばいい。でも、そんな能力や覚悟はたいていの人はない。つまり、若いうちは下積みなのだから色々経験できると思ってどんどん仕事を覚えるしかない。自分に合う環境を探すより環境に合わせられる人が仕事が長く続くんですわ。

ま、私も若いときはろくに勉強もせずプラプラしていたので、人のことは言えませんが。え〜っと、一般論はさておき、もう少し勤労データを見てみます。見たデータは業種別の割合。これは実際にグラフをみたほうが早い。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/18-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf

厚労省の産業別入職率・離職率(平成29年)

これを見ると一目瞭然で、宿泊関連サービス業、飲食サービス業の入・離職者が多い。続いて生活関連サービス業、娯楽業。次いでその他サービス業と上位3位が全部サービス業ではないか。これらに共通して言えるのは、参入障壁が低いってことです。一方で建設業とか製造業、金融業は入・離職者の割合が低い。これはサービス業に比べて参入障壁が高いのは明白。

こうやって見たデータを総合すると、参入障壁の低いサービス業に参入した人・会社が、スキルのない若い人を集めて経営するが、競争が激しく現場はどんどん過酷になる。経営者から被雇用者への要求は厳しくなり、気軽に仕事を始めた人がどんどん辞めていく。その中でも社会経験も浅く気の弱い人は退職を言い出せず退職代行サービスを利用する。こんな感じではないでしょうか。

転職を繰り返す人へ

私はたまに某会社の面接に立ち会うことがあるけど、びっくりするくらい受け身な人に会うことがあります。そういう人の履歴書を見ると転職回数が多くどの職場も1,2年とか、そんな感じです。そういう人には発想の転換が必要です。給料はもらうものでなく自分の能力で稼ぐものと考えれば、ちょっと大変なことがあっても被害者意識を持たずに済みます。弱気人には私の愛読書の一つであるマキャベリの『君主論』から名文を送る。

運命の女神は女なのだから、彼女を征服したければ、押し倒すくらいでちょうどいい。

君主論は色々な人が翻訳していて文庫で出ています。何度も読み返す価値のある名著です!

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年ウェブ運用の専門家です。データ分析やシステム導入の提案などをガッツリやってます。まっとうな情報のインプットとアウトプットを地道に継続することに重きをおいていて、月140時間は本を読みます。ワインとクラシック音楽とネコをこよなく愛し、タバコとトンデモ・ニセ科学は嫌い。明治学院フランス文学科卒。

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