身銭をきって広告運用で失敗を重ねてきたECコンサルタントが、これから初めて自社のgoogle広告運用を開始するという方に絶対にこれだけは守るべきという注意点をお伝えします。
こんな方向けの記事です
- インターネット広告を初めてみようと検討中の経営者や広報担当者
- 広告運用の経験がないのに会社の指示で突然Web広告担当に指名された方
- 外注で広告運用を依頼するに際して、基礎知識くらいは押さえておきたい広報担当者やウェブ担当者
- Web制作はできるけど広告運用はやったことないWebデザイナー
- ネット広告を出したことあるけど、効果がなくて一度でやめてしまった経験を持っている方
目次
- Web広告の基本
- ウェブサイトを用意する
- 目的を決める
- 具体的なKPIを決める
- 予算と期間を決める
- 目的に沿った広告媒体を選択する
- 広告運用でよくある失敗
- 広告運用の効果をより確実にするのに読んでおきたい本
ウェブサイトを用意する
当然ですが、インターネット広告を掲載するにあたって自社のサービスや商品を紹介するウェブサイトやLPは必ず必要です。これがないのに広告運用をしても意味がありません。もし自社ウェブサイト、LP、ECサイトがないという方は先に用意しましょう。広告について考えるのはその後です。
では本題に入ります。
目的を決める
最初にネット広告を運用する目的を決めましょう。あなたは何のために広告を掲載するのでしょうか。もちろん「商品やサービスを売れるために」でしょうけど、そういうざっくりした考え方でいると、ネット広告の運用において必ず失敗します。
私も最初そうでした。「広告を掲載すれば売れる」と思い込んでいました。しかし実際は問い合わせすらありませんでした。こういう失敗をしたくない方は、広告運用の目的を必ず最初に決めましょう。そうすればうまくいかなくてもぶれることがなく、軌道修正が容易にできます。
広告運用の目的としては、以下のようなものが挙げられます。
- 認知度アップ
- 見込み客の獲得
- 会員登録、キャンペーン応募
- テストマーケティング
- イメージアップ
見込み客の獲得
B2Bで一番多い目的がこれでしょう。見込み客のリストを作成すること。一般的な認知度アップなどは脇において、興味を持ってくれそうな人にのみメッセージが届けばいい。そういう考え方です。リード獲得と言われることもありますが、意味は同じです。
B2Bの見込み客の獲得が目的の場合こそ、リスティング広告の出番です。B2B向けのニッチな商品やサービスに関連するキーワードをピックアップして、それを広告設定します。検索回数は多くなくても、引き合いの確率は高いです。B2Bの場合、自社では想像もしなかったような需要があることがあり、リスティング広告を運用するとそういったデータも取得できます。これについてはまた別の記事で紹介します。
認知度アップ
自社のことや自社ブランド、特定の商品の認知度アップを目的とします。もちろん売れるにこしたことはありませんが、そう欲張らず、とにかく認知度がアップすればそれでよし、という姿勢に徹しましょう。結果的にそれが売上につながります。
認知度アップが目的の場合、例えば、特定のエリアや特定の年齢層に徹底的に絞って広告を出すほうが効果的です。インターネット広告にはフリークエンシーという指標があり、これは同じ人に何度配信されたかを示す指標です。このフリークエンシーをKPIとして、広告運用をすることが認知度アップの成功の秘訣です。google広告にはディスプレイ広告という広告枠があり、それを使います。
テストマーケティング
ネット広告の大きな効用にテストマーケティングが気軽にできることがあります。新規に商品開発をする際に、少額の予算でどんなニーズがあるか反応を試して、得られたデータを基にして開発を進める。そんなことができます。
上述の通り、google広告はエリアや年齢層や収入を絞って広告配信できるので、どんな層にどんなアピールをすればいいのか少額で試せるのは大きなメリットと言えるでしょう。新聞やテレビなどの旧来のメディアではできないことです。
またこのテストマーケティングの結果に基づいて、広告予算を決めることもできます。例えば1万円の予算で1週間のテスト広告を掲載をしたとします。そして以下のような結果となったとしましょう。
- 表示回数が1万回
- クリック数が100回
- クリック単価100円
そして仮に成約率を1%とすると、契約の獲得単価は1万円ということになります。これを1ヶ月(つまり4週間)掲載すると4万円で4件の契約を見込めます。さて4万円の広告費で4件の成約は、会社にとって利益となるのか、それともならないのか。テストマーケティングの結果はこういった判断の材料となります。
イメージアップ
この目的はB2Bの広告の目的としてはあまりないかもしれません。新聞の見開きの広告などで、イメージ重視の広告を見かけることがあります。大抵は大手ブランドや大企業です。何が目的の広告なのか一見分かりませんが、株主向けのアピールだったり、自社社員への福利厚生だったりするようです。
具体的なKPIを決める
次に具体的なKPIを決めましょう。広告運用におけるKPIとは目標を達成するための指標のことです。ウェブ広告のKPIでよく用いられるのはクリック率(CTR)、クリック単価(CPC)、コンバージョン率(CVR)、コンバージョン単価(CPA)などです。またLPの表示数などもKPIになり得ます。
仮に成約率を1%として、100人の人がLPを見て、10人が問い合わせする場合、100人が問い合わせをすれば1件の契約があることになるので、LPを閲覧する人数をKPIにするなら1000人ということになります。
予算と期間を決める
目的が決まったら、次に予算と期間を決めましょう。インターネット広告は気軽に出稿したり止めたりできますが、行き当たりばったりで掲載と非掲載を繰り返していても望むような効果は得られません。
予算と期間を決めて、この期間内にいくら消化して、これだけの目標を達成するんだ!と広告運用の設定をします。予算は完全に先行投資として扱います。なので多少損をしても割り切りましょう。ネット広告は適切に運用をすれば様々な知見やデータが得られます。望む目標に届かなくても得るものも大きいです。ただし、適切に運用できればですが。
目的に沿った広告サービスを選択する
ウェブ広告にはgoogleの他にSNS広告もあります。SNS広告の代表例はFacebook広告です。ネットで記事検索をするとSNS広告のほうがクリック単価が安いと書いてあり、大抵はその通りです。しかし、目的を持って検索する人と、なんとなくSNSを眺めている人とでは熱意が違います。
特にB2Bの場合はなおさらです。広告費用に踊らされず、まずはgoogleのリスティング広告から開始するのが基本です。そこで広告運用の勝ちパターンを見つけてから、他の媒体へと広げていくのがいいでしょう。
また、ウェブ広告にこだわりすぎず、業界紙や地方紙なども常に念頭におくべきでしょう。仮にリスティング広告運用でなかなかおもうような成果が得られない場合、どうしても視野狭窄になりがちです。例えば、あなたが50万円を広告費に使って成果が出ない場合、「いまさらやめられない」と狭い穴で一人であがくようなことになりかねません。
そうならないために、他者の意見をきくとか、事前に書籍で情報を仕入れるなど少しでも幅広い知識や感覚をもって広告運用にあたるのが大事です。
広告運用でよくある失敗
広告運用を開始して、なかなか成果が出ない場合、人はついその原因を外に求めがちです。しかし解決作は内側にあります。ここでは成果が出ない人が陥りがちな罠について書きます。私自身もこういう失敗をしてきました。
- LPのデザインがよければ売れる
- 広告を掲載すれば売れる
- いい商品を作れば売れる
- アクセス解析しないか、しても数字を眺めるだけ
LPのデザインがよければ売れるは思い込み
広告掲載をしていると、ウェブデザイナーからの売り込みがしばしばあります。もっとデザインをこうすれば売れるようになりますよ、と。しかし、中小零細企業や個人事業、B2Bの場合、LPのデザインが芸術的に美しい必要はまったくありません。もちろんデザインが崩れているとか、文字が小さくて読めないなんていうのは論外ですが、最低限見やすく清潔感のあるデザインならそれで十分です。
実績紹介や社員やお客さんの写真などは、あればいいかもしれませんが、なくても売れます。大事なのはあなたの商品やサービスに関する熱い思いです。商品・サービスの紹介文は必ず自分で、自分の言葉でお客さんに伝えましょう。
広告を掲載すれば売れるは思い込み
リスティング広告運用の開始を検討し、準備を重ねいざ出稿する前は、「これは広告を出しさえすれば売れるな、問い合わせたくさんきちゃうな、業務パンクしたら困っちゃうな」という希望的観測で胸が高鳴ります。しかし、実際にリスティング広告を出しても、最初は反響は一切ありません。99%の人がそうなります。
直帰率100%、資料請求すらゼロ件。そこからめげずにLPや広告文の改善のを重ねた結果やっと問い合わせが来たと思ったら他社の人材紹介の営業だったり、不正広告費稼ぎのボットだったりします。
そういう数々の困難の向こうに、やっと1件の引き合いがあります。B2BやECの場合、自社の広告運用で成果が出るまで最低3ヶ月から半年、広告費は50万は見込んでおいてください。
いい商品を作れば売れるは思い込み
いい商品を作ってさえいれば、勝手に売れるはずだ、誰かが見つけてくれる。そう思い込んでいる経営者はいまだにたくさんいます。特に職人気質の強いメーカーがこういう傾向が強いです。
「いい商品を用意して、広告を掲載しているのだから売れるだろう」と。私にも分かりますよ、その気持ち。しかしこれだけインターネット上で情報が溢れかえり、個人が大量の情報に押し流される時代にあっては、その思い込みは致命的です。いいものを作って、積極的にその情報を届けたい相手に届けないと売れません。幻想は捨てましょう。
アクセス解析しないか、しても数字を眺めるだけ
広告運用で成果を出すには、仮説を立て広告を設定し、広告を運用し、アクセス解析をして、LPを修正する、この4つを地道に継続する必要があります。よく言われるPDCAです。
しかしアクセス解析のスキルがないために、何をどうすればいいのか分からないという人がたくさんいます。アクセス解析をしないとリスティング広告は一切成果を得られません。広告掲載を始める前に、アクセス解析の準備やノウハウが社内にあるか確認しましょう。ない場合は勉強するなり人に任せるなりする必要があります。