Webは用いる人のリテラシーで決まる 文学部卒でWebエンジニアになった私が勉強してきたこと、経験したこと、読んでいる本について伝えます
Twitter Facebook
TOP > BLOG >

聖マリ医師の友人から聞いた「むかつく患者の対応は後回しになることがある」にITエンジニアが妙に納得した話一般向け

ウェブ業界の裏側

新型コロナの重症患者を積極的に受け入れているという聖マリアンナ医科大学病院で医者をしている友人と飲みに行き、その際に彼からこんな話を聞いた。

「むかつく患者の対応は後回しになるんだよね」

例えば、5月頃を思い出して欲しいのだが、あれだけニュースになっていたのに新宿の夜の町で何も用心もせず散々遊んで新型コロナに感染したやつが重症になって運ばれてきても、「こいつ自業自得だろ」と医療チームは感じるらしい。

一方、感染しないように細心の注意をしていて、それでも不運に感染してしまった患者に対しては「なんとしても治してあげたい」っていう雰囲気が現場の医療チームに生まれるらしい。

医療現場が逼迫していて、同じくらい重症な二人がいる場合、治してあげたい患者を優先して治療し、むかつく患者の対応は後回しになることがある。

と、まぁ、こんな趣旨のことを医師の友人から聞いたのです。

「まぁ、もちろんむかつく奴でも最終的にはできる限りきっちり対応するけどね。」と友人医師。

なるほど、医者でもそういうことがあるのか、と思った。考えてみれば人間だから当然だけど。

私はウェブ運用やITシステム開発の仕事を15年以上していて色々な場面に遭遇してきた。上の医者から聞いた話と似たような場面に何度も遭遇している。ウェブサイトを納品した客の中には、少しでも不満があると次々に文句をいってくる奴と、こちらの事情をくんでやんわりと要望を伝えてくる人がいる。では具体的に両者の様子を紹介しよう。

不満だけを一方的に言ってくる奴の場合

「おたくの営業担当者の話を信じてさ、ウェブ制作の契約をしたのによ、全然ホームページから問い合わせないよ。だいたいSEOの順位なんて全然上がってこないし、できあがったデザインも最初にこっちが考えていたのと全然違うよ。作り直してくれ。上司だせよ、この野郎。」

という感じで納品半年も経過してから一方的に不満を言ってきて、こちらの言い分には一切耳を貸さない。納品半年も経過して検収も済んでいるのだから、修正には当然費用がかかるのでそれを伝えるとさらに激怒する。

当然こういうクレーマーの対応をする担当者は「こいつこの野郎!」となる。こういうのが一度だけならまだしも、いつも一方的な態度をとる人に対して社内には「こいつ面倒くさい」という共通認識が醸成される。これを換言するならば、いわば「社内のブラックリストに登録される」わけです。

やんわりと要望を伝えてくる人

「納品して頂いた御社のシステムが大変使いやすく、社内でも評判です。品質にはとても満足しています。
納品後時間が経過し、日々システムを使用しているなかで、細かい点ではあるのですが、もう少しここがこうならと感じる点があります。システムのさらなる改善に向けて弊社の要望を整理したので、見積もりを頂けるでしょうか。」

という感じでシステム改修に追加費用がかかり、こちらも忙しいことを当然の前提として話しをしてくる。こういう物わかりのいい人は対応する側も気持ちよく対応できる。

両者の差が生まれる時はどんな時か

不満だらけのクレーマーも、ものわかりのいいお客さんも、どちらもそれぞれ自分の要望を伝えているという点に関してはなんら違いはないが、伝え方に日米の間に広大に横たわる太平洋を越える以上の距離があることは明白である。

さて、先日の東証のシステム障害の件や、電車の運行に遅れが生じることからわかるように、ウェブやシステムには障害がつきもので、サーバーが不調でウェブサイトが表示されないとか、CM広告を出してアクセスが増えてサーバーが落ちたとか、なぜかある日突然ウェブのデザインが崩れてしまった、のようなトラブルがたまに発生する。こういう緊急事態発生時に、感じのいい客とクレーマーの命運が分かれる。例えば両者のウェブサイトを管理しているそれぞれのサーバーで同時に障害が起きたとする。

感じのいいお客さんは、現場にとっては優良顧客であるから優先的に障害対応をして少しでも早く対応しよう、という感じで扱われる。一方日頃から不満だらけの奴に対しては、「すぐ対応します」と伝えておいて、現場では一番最後に回される。こんなことが実際にあるわけです。

このウェブ業界の現場の話を医者の友人にすると、みなまで言わずとも理解してくれたところを見ると、業界は違えど人が他者に対して感じるものは同じなのだなぁと、とつくづく思う。

  • かたや同じ重症患者でも、バカで遊び放題で無神経の人は医師からぞんざいに扱われ、一方で日常的に感染に注意していたのに感染してしまった人は大事に看護してもらえる
  • かたや同じ金額の、同じようなウェブサイトの客でも、一方的に自分の要望を通そうと思う人は緊急時に後回しにされ、一方で大人な人は優先して対応してもらえる

医者でもITエンジニアでも、それ以外の職業でも、面倒な客の対応は後回しにされる。だって人間ですもの。さて、友人医師から聞いた話をもう少し続ける。

医者からきいた話の余談

新型コロナの治療であるかどうかに関わらず、治るのに時間がかかる患者は、医者のいうことをきかないらしい。どういうことか言うと、例えばこういうことだ。

肺病の場合、呼吸を補助する機器を喉から通して肺が呼吸をしやすいように援助するらしいのだが、患者は口から異物が入るのだから、それを入れられる側は当然生理的に嫌がるのだ。そして、自分の要望を一方的に通そうと思うような人の場合、呼吸器を自分ではずそうとしたり、たいした用もないのにナースコールしたり、ちょっと暴れたり、要は赤ちゃんのように振る舞うらしい。

そういう患者は、ほぼ例外なく治るのに時間がかかる。一方で、呼吸器をおとなしく受け入れるようなものわかりのいい人は退院が早い、という話を医師の友人はしていた。

なるほどね。

ウェブ制作やシステム開発も、プロに依頼するなら任せるべき点においては任せて、変に首を突っ込まない方がいい場合がある。中途半端な知識がある人が発注側にいて首を突っ込んでくると、ほぼ例外なく納品は遅れる。現場ではそういう人は煩わしいものとして扱われる。これが現実。

以上、医者とウェブのシステム開発と全然違う世界だが、妙に共通事項があったので整理して書いてみた。もしあなたが何らかのプロと付き合うにあたってその相手が信頼できるならば、そのプロの言うことは素直にきいたほうが結果的に自分が得をする場合が多いでしょう。

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年のウェブエンジニアです。文学部卒で20代はSEO、アクセス解析などフロントの運用を中心に経験しましたが、30代のある時、ひょんなことから一人情シスのような状況を経験することになり、流れでそのままエンジニアに転向しました。プログラムやサーバー管理、数学の勉強などをしなおして、いまではWebのことはフロントからバックエンドまでなんでもできます。

本が好きで月140時間は読書します。このブログではWeb業界で経験してきた業界の裏側、読書で学んだこと、技術ノートなどを書きます。ネコ好きなタバコ嫌いで、明治学院フランス文学科卒。

facebookへ
PAGE TOP