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【書評】恐怖の地政学

早川朋孝 早川朋孝
ITコンサルタント

相次ぐミサイル発射に核実験(しかも水爆)、虚勢を張る迷惑な隣人、北朝鮮。先日のJアラートでは電車が止まった地域もあったし、携帯に届いたJアラートに気を取られて事故ったトラックもあったらしい。北朝鮮は私たち日本人に実害をもたらしている。ほんと迷惑。

ミサイルと核実験だけではない。昨日9/7の読売新聞では北朝鮮が電磁パルス攻撃の能力があるとの報道があった。
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20170907-118-OYTPT50197/list_NEWS%255fMAIN%25240907

◆電磁パルス(EMP) =EMPはElectromagnetic Pulseの略。放射線の一種「ガンマ線」が宇宙空間から地表に降り注ぐことで、大気中の窒素や酸素の分子から電子が飛び出して生じる電磁波。落雷で電子機器が故障するのと同様に、強烈な電磁パルスは電気を通すケーブル内部に強い電流を発生させることで、電子機器をショートさせ、破壊する。

読売新聞 9/7一面

高度に電子化された現代社会でこんな攻撃をされたら、日本に破滅的な結果をもたらす。水道、電気、ガス、交通などのインフラがめちゃくちゃになって、餓死、凍死などで多くの人が死ぬのは確実。今日は太陽フレアで電磁波が乱れて通信機器に影響があるかもなんて報道があるが、電磁パルスはそれをもっとひどくしたものだ。

私たち日本人はいつまで彼らに我慢すればいいのだろう?

こんな疑問に対するヒントを与えてくれるのがT・マーシャルの著作「恐怖の地政学」だ。世界を10の地域に分けて、各地域ごとの政治状況を地理学を踏まえた観点から解き明かす内容。その第三章が「日本と朝鮮半島」だ。「日本と中国」とか「極東」ではなく、あくまで「日本と朝鮮半島」というくくりなのだ。そんだけ切り離せないってことでしょ。

中国は北朝鮮の味方

これを読むとなぜ中国は北朝鮮への厳しい制裁に反対なのかとか、どう考えても韓国のほうが北朝鮮より強いのに南北統一をしようとしないのかなどの謎がとける。これらの質問に対する回答が恐怖の地政学に書かれている。それらをまとめると以下のようになる。

  • 中国は国境付近にアメリカ軍基地が置かれた統一朝鮮の誕生も望んでいない
  • 経済複雑性観測所の2014年の数字によると、中国は、北朝鮮の輸入の84.12%、輸出の84.48%を担っている
  • 韓国は、自国の繁栄を危険にさらすことに複雑な感情を抱いている

色々な国の利害が複雑に絡み合っているので、北朝鮮問題は放置されたような状況になっている。あなたの会社でも問題が複雑すぎて放置されていることって一つくらいあると思うけど、それと同じ。少しでも解決しようとすると今より害が大きくなるから、みんな嫌がる。

ロシアも朝鮮半島のアメリカ軍基地が増えるのは嫌だろうし、逆に日本人は朝鮮半島が北朝鮮で統一されたら嫌でしょ、すごい脅威になる。そういう状況を利用して自分の利益を最大限にしようとしているのが北朝鮮の独裁者たちなわけ。

権力にすがる北朝鮮の独裁者たち

考えてもみれば分かるけど、冷戦が終わった今、共産主義なんていうイデオロギーには何の意味もないのは明白で、独裁者たちは自分の権力を維持したいだけなのだ。そんな一部の権力者が水爆の実験とか電磁パルスとかにすがっているっていうのが今の朝鮮半島の事情。

で、日本はいつまで北朝鮮に我慢すればいいか?可能性としては以下のような場合が考えられる。

  1. アメリカが北朝鮮に内政干渉しない(つまりの独裁者たちの地位を保証してあげる)
  2. 日本がアメリカと同盟を破棄して、中国と同盟を結ぶ
  3. どこかの国が北朝鮮を攻撃して破壊し尽くす

こんな事態になれば日本にとっての北朝鮮の脅威は減じると思われるけど、はたしてこんな日がくるのか、私たちの生きている間には実現しない気がする。

3についてちょっと補足すると、もし北朝鮮のミサイル兆発が偶発的に日本のどっか田舎に着弾して死者が一人でも出たら、憲法9条の改正論がもちあがって多くの人が賛成し、北朝鮮を日本が攻撃できるようになるかもしれない。北朝鮮は滅びるけど日本も韓国も容認できないほどの多くの死者が出る。ちなみに1950年に勃発した朝鮮戦争は約400万人の死者が出たらしい。

「恐怖の地政学」を読むとこんな感じで地政学の現実を理解できる。子供に「北朝鮮はなんでミサイルをうつの?」って聞かれて答えられるかっこいい親になれます。たぶん。

地政学の理解には高低差を含む地図が頭に入っている人が読むのが前提なので、地理学を頭に叩き込んでからのほうが理解しやすい。マッキンダーが難しいという人は、この本に書かれている事例で肉付けすれば、地政学について理解が深まるだろう。

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このブログを書いてる人
早川 朋孝 EC専門のSE
IT業界歴20年のエンジニアです。ネットショップ勤務で苦労した経験から、EC・ネットショップ事業者に向けて、バックオフィス業務の自動化・効率化を提案するSEをしています。
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