SEが教えるEC運営のブログ EC業務成功の秘訣を歴20年のSEが教えます
TOP > BLOG >

東京拘置所の地震マニュアルが生き残る示唆に満ちている件『獄中記』

早川朋孝 早川朋孝
ITコンサルタント

作家の佐藤優さんの『獄中記』という著作があります。著者は平成14年、鈴木宗男事件で外務官僚として連座し、東京地検特捜部に逮捕されました。そして東京拘置所に収監されますが、その小菅ヒルズでB6判の「所内生活の心得」をわざわざ手書きでノートに複写したそうです。その内容が『獄中記』に掲載されてあり、その中に地震の心構えがあります。特にむずかしいことは書いてないし、読んでも今さら当たり前じゃんって感じですが、改めて意識しておけば、いざ自分がそういう目に遭ったときに生死を分ける差になるかもしれない。まずは該当箇所引用します。

もし地震が起こったら

わが国は、世界の中でも有数の地震国です。そのため地震に対する普段からの心構えが大切なのですが、突然大きな地震に直面するとなかなか適切な行動がとれないものです。

そこで、これから地震が起きた場合、皆さんがどのようにこれに対処すべきかお話しましょう。

まず、東京拘置所の建物は、地震に強いということです。地震が発生しても皆さんが居房の中にいる限り絶対といっていいほど安全なのです。

具体的に説明しますと、

東京拘置所が建てられている地盤ですが、当初の建設時におけるボーリング調査の結果、有楽町層・七号層・埋没段丘層・東京層などと呼ばれている地層で形成されており地震に対する地層の強度は強く地盤が崩れる不安はまずないということが判明しています。

建物についても関東大震災の経験を基に専門家が綿密な設計をして建築したものであり、更に地盤を強固なものとするため、直径八〇センチもある銅管杭が地下四〇メートルまで何本も打ち込まれております。これは、コンクリート杭と比較した場合、衝撃に強く、かつ柔軟性があることから使われているものです。

また、舎房の壁は、一般の鉄筋コンクリート建築と比較して、その厚さが一・一六倍あり、建物に継ぎ目がないばかりか各居房が壁で仕切られ、開口部には鉄格子が入っていることなどにより堅固な構造になっています。

そして専門家の耐震診断を受けた結果、基礎工事・建物とも耐震基準にかなったものであり、関東大震災急の地震が発生しても当処の建物が倒壊するおそれは全くないということが分かっています。

地震により電気、水道、交通等が途絶する非常事態が発生したときのために東京拘置所では、非常用食糧及び飲料はもちろん、自家発電装置も完備されているので、これらが復旧するまでの間、何ら不安なく生活が送れるように万全の準備をしております。

これで皆さんがいかに安全なところに収容されているか理解できたと思います。

しかし、地震による災害から身を守るため一番大切なことは、皆さんが、職員の指示に従い、落ち着いた行動をとることです。

そこで地震に対する皆さんの心構えについてお話しましょう。

1.過去の大地震の災害をみると、グラグラっときたとき建物が倒壊するのではないか、という恐怖感から外へ飛び出したために落下物に当たり、あるいは塀や門柱が倒れ、その下敷きになって死亡したという事例が多いのです。しかし、皆さんは、倒壊のおそれに少ない建物の中にいるのですから、まず「グラッ」ときたら身を潜めて布団や毛布などを頭からかぶって窓ガラスの破片等による被害から身を守り安全と思われるまで静かに待ってください。

慌てたり、恐怖にかられて叫んだりすると不必要な動揺と混乱を来す原因にもなりますから大声を出すことは、絶対にしないで下さい。

2.次に、職員から指示や情報の伝達がありますから、落ち着いてよく聞き、指示に従って行動して下さい。職員の指示を信頼して行動する事が、事故防止の最良の方法であることを忘れないで下さい。

なお、平素から心掛けておくことは、房内の棚など高いところに重量物(缶詰、図書等)を置かないようにして下さい。地震のときこれらのものが落下してけがをしないようにするためです。

そして房内の私物(図書・衣類・食糧品等)や備品(容器・掃除用具その他)は、いつも整理・整とんしておくことです。これは突然地震が起こったときに慌ててこれらにつまずいて転倒したりして思わぬけがをしないためです。

『獄中記』p546

東京拘置所には入れば、たぶん直接読めます 笑。さて、上記は以下のように要約できます

  1. 日本は地震が多いと心得よ
  2. 地震のときは身を守ること
  3. 叫ばない、とにかく冷静に
  4. 安全な場所に身を置くこと

では、一つずつ細かく見ていきます。

日本は地震が多いと心得よ

このことを前提に日頃から備えをしてください。でも人間ってすぐ忘れます。この記事を読んだ人でも99%の人は何も備えをしないだろうし、大変な目に遭った北海道の人でもすぐ忘れるでしょう。スマホの電源が切れて苦労した人でも、バッテリーを買わない人のほうがはるかに多い。そんなもんです。

地震のときは身を守る

これは最重要事項です。とくに頭を守ること。胸より頭です。なぜなら、体は服をきて保護されているけど、頭はむきだし。だから頭を最優先で守るべきです。鞄を持っていれば、揺れている時は頭のうえに持ってくる。ちなみに私はたいてい本とノートPCを持ち歩いているので、鞄はそこそこ強力な盾になります。

自宅で寝てる時なら、手元・枕元に明かり、スリッパ、水、携帯電話は最低限置いておくべきでしょう。揺れでガラスが割れたら、スリッパがないと大変なことになります。断水したら水が飲めません。

叫ばない、とにかく冷静に

これは大事です。とても大事なので、該当箇所もう一度引用します。

慌てたり、恐怖にかられて叫んだりすると不必要な動揺と混乱を来す原因にもなりますから大声を出すことは、絶対にしないで下さい。

叫び声は無用な恐怖を煽ります。自分の叫び声で自分も怖くなる。冷静さを欠けば頭るを守るの原則も守れなくなります。恐怖に駆られた叫び声は群衆、人混みでは特に危険です。集団でパニックになったら地震と同じくらい危険です。身の回りに「ギャーギャー」大騒ぎしている人がいたらひっぱたいてでも黙らせたほうがいい。ま、突然揺れて反射的に出る声くらいは、どうしようもないけど。

安全な場所に身を置く

危ないところ、危険なものには近づかないのは孫子の兵法にも書いてある生きる上での鉄則。自宅は、とりわけ寝室の安全は確保したほうがいい。特に、本棚やタンスがある和室で、そのすぐ横で布団ひいて寝るなんて最悪です。オフィスも、自分の席のすぐ近くに大きな棚があり、固定もしないで書類や備品が大量にある状態なら席替えをしたほうがいい。そういうことができない会社なら辞めたほうがいい。

通勤、通学でよく通る場所で、危険な場所がないか確認しておく。倒れそうな木、傾いている塀とか、注意深くみるとけっこうありますよ。

自宅での就寝時は、たとえ和室であっても近くにスリッパを置いてく。足を守るためです。怪我をすれば感染症になる可能性もあり危険です。また、自宅には水もおいておくべきです。食糧は、1週間くらい断食しても死ぬことはないけど、水だけは必須です。そして、口に入れるだけでなく出すほうも同じくらい大事です。断水に備え簡易トイレも必須です。

おまけ:私がしてる地震の備え

特別なことはしてませんが、最低限の備えはしているつもり。

  • 寝室に1Lペットボトル飲料、食糧
  • 家具の固定
  • 窓ガラスからは離れて寝る
  • 家には簡易トイレ、万能ナイフを備える
  • 携帯バッテリーを持ち歩く
  • 歩きやすい靴を職場に置いておく

そして大事なのは、助け合いです。日頃から近所の人と最低限挨拶くらいしておけば、非常時に気持ちよく助けあえます。一人で無理するなんて、ろくな結果になりません。

×
このブログを書いてる人
早川 朋孝 EC専門のSE
IT業界歴20年のエンジニアです。ネットショップ勤務で苦労した経験から、EC・ネットショップ事業者に向けて、バックオフィス業務の自動化・効率化を提案するSEをしています。
Web運用の経験もあり、アクセス解析、広告運用が得意で、広告APIとプログラムとの合わせ技で並の広告代理店にはできない提案が可能です。
プロフィール
API連携の相談にのります
趣味は読書、ピアノ、マリノスの応援など
PAGE TOP