Webは用いる人のリテラシーで決まる 文学部卒・30代でエンジニアに転向した私の実践記
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嫌われてる人の本でも内容がいいなら読むほうが得だよ。津田大介著『情報戦争を生き抜く』一般向け

早川朋孝 早川朋孝
文学部卒のエンジニア

情報戦争を生き抜く

私はよく知りませんが、津田大介さんってよほど嫌われているんですね。下の画像の通りアマゾンのレビューを見ると罵詈雑言にあふれている。しかし作品の価値と著者って実は大して関係ないんですよね。詠み人知らずの歌とか、作者不明の絵画、音楽、絵巻物、美術品なんていくらでもあるけど、ルーヴルにも大英美術館にも展示されていて多くの人が喜んでそういうものを見てるでしょ。私の読んだ限り『情報戦争を生き抜く』は今のネットや、フェイクニュース、これからのSNSの課題など様々な事例がトピックスごとに整理されて紹介されており、素晴らしい著作です。それを嫌われる著者だからなんて理由で読まないのはもったいない。

アマゾンのレビューの一部

流石、百田さんの本をやっかんで書店を貶すだけの事はある。
いち主婦の私でも分かる様な中身の無さでした。

このレビューなんて馬鹿を極めた人が書いているようですが、明らかに読んでない人の言動です。著者の日頃の言動や人格がどうであれ優れた作品は優れている。私が『情報戦争を生き抜く』を読もうと思ったのは、作家の佐藤優さんがメディアリテラシーを訓練するのに推していたからなのですが、とりあえず読んで見たら実際に優れた内容だと思いました。ネットに溢れる罵詈雑言なんて気にせず、本物の価値ある情報を自分から取りにいくほうがよっぽどお得でしょう。SNSとかフェイクニュースとかに多くの人が翻弄されている今だからこそ、こういう本を読んでメディアリテラシーを高めるべきだと思う。

さて、『情報戦争を生き抜く』の核心は以下に集約されると思う。

現在起きてる情報戦争の本質とは何か。それは、ソーシャルメディアの影響力がマスメディアを超えつつあることで、事実が軽視されるようになり、その結果として、論理や理屈よりも感情が優越し、分断の感覚が増大しているということである。

p342

いまのSNSやメディアの状況が上記の引用の通りであるという認識をしたうえで、スマホやネットと付き合わないといけない。とりわけ<論理や理屈よりも感情が優越し>という部分に注目しました。これは多くの人が科学的な姿勢を拒否していることを示している。これじゃ中世に逆戻りです。人類が多くの犠牲を払ってきた進歩を捨て去っているのに等しく、ものすごくもったいない。

読書ノートを作ったよ

私は有用な本を読む際、重要な箇所は線を引いたりページを折ったりして、最後に読書ノートとしてまとめています。こうすることで重要な事項が記憶に定着しやすくなります。『情報戦争を生き抜く』についても、特にこれは!という内容についてはまとめました。「津田大介の本の読書ノート作るなんてバカじゃね」とかいう人はたくさんいるだろうけど、そんな声は無視するに限る。どんな著者であれ、その著作から得られる有用な情報を意図的に拾いに行かないなんて明白な損失でしょ。

  • ネット炎上はごく一部の人が参加しているに過ぎないのに、それによって社会全体が翻弄されている
  • 多くの人は記事の見出ししか読まないのに、中身を知った気になってシェアする
  • ワシントン・ポストがAIの書いた記事を採用している。日本では日経新聞にAI記事の実績があり、いまのところ大きなトラブルは発生していない
  • 記者が取材をする都市では現職の立候補や再選が減るというデータがある
  • どんなメディアが報道するかより、誰がSNSでシェアするかによって情報の拡散に埋められない差がある
  • ヤフー・ニュースのような大手メディアは、PV目当てで嫌韓や嫌中のようなヘイト表現を意図的に放置している

一番下のヤフー・ニュースの件についてだけど、これについての詳しい状況はヘビーユーザーを規制してもヘイトが減らないヤフコメという場に詳しく書いてある。ネットにおいてPV(閲覧されるページ数)が多いほど広告売上に貢献する。ヤフー・ニュースの月間PVは2016年8月には150億PVもあり、そのうちコメント欄のPVはヤフー・ニュース全体の13%に及ぶらしい。こういう問題について思うのは、AIにヘイト表現を学習させて自動で削除すればいいのにということが一点。これこそ建設的なAIの活用方法でしょう。そしてもう一点は、ヤフー・ニュースなんて見なければいいということ。まともな人はヤフー・ニュースのコメント欄なんて時間がもったいないから見ない。頭弱い人が意味不明なことを投稿してるだけであり、そこから有用な情報は得られない。無視すればいいだけ。

最後に

再三書きますが著者の津田大介さんについてうんぬんはどうでもよく、昨今のネットやメディアのあり方、フェイクニュースなど課題が整理されています。メディアとどう付き合えばいいか分からない、そんな時代に指針となるような一冊です。熟読に値します。

毎年春になると、新聞社の多くは紙面改善という理由で文字数が減らします。これは実質的な値上げに等しいけど、みんな気づいてますか?新聞社も人手不足で大変なんですね。こういう問題に対して独自の思考でソリューションを提案できる人は、これらかも活躍できる人材だと思います。

  • おすすめ度★★★★
  • お買い得度★★★★★
  • 読み応え度★★
  • 一気読み度★★★

併せて読みたい

メディアやフェイクニュース、SNS関連の本を紹介します。

ファクトフルネス

私たちの世界に関する認識は古いまま。しかし事実はそれとは異なる。とりあえず読んでおくべし。詳細はiOSのアップデートは毎年あるけど、人の知識はアップデートされないせいで勘違いして損してる『ファクトフルネス』を参照されたし。

フェイクニュースの見分け方

新書ではあるけど、フェイクニュースに関して質のいい情報が得られる。この分野の本ではダントツ一番ではないだろうか。悪魔の証明についての言及があるなど著者の教養の高さが伺える。必読です。

なぜネット社会ほど権力の暴走を招くのか

メディアの置かれた状況をデータに基づいて丁寧に分析している。メディアについて考えるにはぴったりの本。書評『なぜネット社会ほど権力の暴走を招くのか』

ネット炎上の研究

これも必読です。書評をまだ書いてないので、近いうちに上げます。

このブログを書いてる人
早川 朋孝

業界15年のウェブエンジニアです。文学部卒で20代はSEO、アクセス解析などフロントの運用を中心に経験しましたが、30代のある時、ひょんなことから一人情シスのような状況を経験することになり、流れでそのままエンジニアに転向しました。プログラムやサーバー管理、数学の勉強などをしなおして、いまではWebのことはフロントからバックエンドまでなんでもできます。

本が好きで月140時間は読書します。このブログではWeb業界で経験してきた業界の裏側、読書で学んだこと、技術ノートなどを書きます。ネコ好きなタバコ嫌いで、明治学院フランス文学科卒。

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