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10連休に読んだ本をざっくり紹介します

早川朋孝 早川朋孝
ITコンサルタント

連休中にどんな本を読んだかと聞かれることがあったので、ざっくり紹介します。連休中はワインを飲んでばかりいたので合計で80時間くらいしか読書できなかった。読書時間が当初の計画よりだいぶ少ないので紹介する本も少ないです。悪しからず。

フクロウの家

偏執的なフクロウ愛を持つ著者によるフクロウ賛歌。著者のフクロウに対する愛情は尋常ではなく、フクロウを観察するのに適した場所に家族ごと引っ越したくらい。見事な挿絵の数々も著者自身が描いたもので、文章とあいまってフクロウへの理解が深まる。フクロウカフェのように人間の都合に基づいた行為への静かな怒りも読み取れる。装丁も美しく本を所有する喜びを最大限に味わえる。今のところ今年最高の一冊。詳細は一番好きなのはネコだけどフクロウに代わるかもしれない。偏執的なフクロウ愛を感じちゃう本『フクロウの家』を読んでください。

  • おすすめ度★★★★★
  • お買い得度★★★★★
  • 読み応え度★★★★
  • 一気読み度★★★★

沈黙の春 新装版

レイチェル・カーソンによる環境問題に関して言わずとしれた古典中の古典。むかし流し読みした程度だったので新装版で買い直して精読した。1950年代のアメリカで害虫退治のために散布されたDDTがどれだけ環境や生物、もちろん人間自身にも悪影響を与えたかを著者が冷静な筆致と溢れる詩情で描いたもので、環境問題を提起する最初の一冊となった。毒が大地に蓄積して、汚れた土は戻らないという発想は『風の谷のナウシカ』の種本になっているのはないかなと思った。現代の環境運動や環境に対する意識というのは、およそこの本に書かれていることをベースにしていると言って過言でない。著者の文体には怒りがにじみ出ているが、決して下品に悪態をつくことはなく、確認できた事実を淡々と描写することで説得力が増している。SNSなどで感情的な表現ばかりつかっているような人にこの冷静な文体から表現を学んで欲しい。ま、そういう人が読むわけないか。

  • おすすめ度★★★★★
  • お買い得度★★★★
  • 読み応え度★★★★★
  • 一気読み度★★★

不思議の国のアリス 亜紀書房

ディズニー映画があまりに有名。しかしこういう知られた作品こそ原作をまず読むべきかと。奇想天外な内容に加えだじゃれも多く翻訳が困難を極めるであろうことは容易に想像できる。そういう著者の苦労を想像しながら読むのは、子どもにはできない芸当だし、ましてアニメで観るとのとでは天と地ほどの違いがある。紅茶とお茶菓子をいただきながら気軽に読むもよし、音読して物語を楽しむもよし、原文と比較して英語の勉強をするもよし、読み方は様々よ。ちなみに私が買った版のアリスの挿絵は絶品でした。

  • おすすめ度★★★
  • お買い得度★★★★
  • 読み応え度★★★
  • 一気読み度★★★★

もういちど読む山川世界現代史

錆びついた世界史の知識を再度磨くために選んだのは、特に現代史に焦点をあてた山川世界現代史。ウォラーステインの「近代世界システム」の発想に基づいた記述が本書のベースにあり、帝国主義、資本主義から始まる現代史の流れがコンパクトにまとめてあり、非常に分かりやすい。ぼくはちゃんとした常識がある人かどうかを判断する物差しのひとつとして「近代」を正確に説明できるかは最重要だと思っています。その「近代」の理解を本書で補強できます。この本の何がいいって新聞がはやく読めるようになります。というのも本書を読むことで、起きていることの基本的な背景を押さえることができるからです。速読というのは既知の事実を増やしていくことでのみ可能になることが分かります。ピアニストの初見演奏と似ているのです。

  • おすすめ度★★★★★
  • お買い得度★★★★★
  • 読み応え度★★★
  • 一気読み度★★★

世界史を変えた13の病

すげー面白かった。まじで。テロが怖い、交通事故が怖い、飛行機事故が怖い、自然災害が怖いなどなど生存を脅かすものへの恐怖は色々あると思いますが、一番怖いのは細菌です。人間は絶対に細菌には勝てない。スペインかぜも映画『レナードの朝』で扱われた嗜眠性脳炎も、いつの間にか発生しいつの間にか収束したけど、人類が克服したわけではないのです。まして、これだけ高度に人や物が行き来する現代社会でこういった疫病が氷の下から蘇り人類に広まったら、まじで世の中終わりというくらいの被害者が出る。そういった疫病と人類がどう戦ってきたのか、感染症の恐怖を存分に味わいたまえ。ライトな語り口調の文体や読みやすく癖になる。

  • おすすめ度★★★★★
  • お買い得度★★★★
  • 読み応え度★★★
  • 一気読み度★★★★

第6の大絶滅は起こるのか 生物大絶滅の科学と人類の未来

読売新聞の書評に出ていて、書評を読んだ瞬間に買いを即決。かつて地球であったとされる計5回の生物の大絶滅の痕跡をひとつずつ追っていく。カンブリア紀とか古生代とか、覚えてないだろうけど高校の時に勉強したでしょ。あれです。4億4500万年も前の生命の痕跡がいまの地球にも断片的に残っているという途方もないスケールのおはなしが次々に展開される。他にも宇宙のはなし、炭素など化学の基礎知識も当然ように出てくるから、著者の広範な知識は相当なものでしょう。高度な内容でありながら読みやすい文章なので、それだけに地学の基礎がない人が読み進めても実は理解できてないまま進んでしまい、「あー面白かった」で終わり読了後に何も残らない罠に陥る可能性が高い。ちなみにエリザベス・コルバート著『6度目の大絶滅』によると6度目の大絶滅は現在進行中。アメリカのジャーナリストはこういうネタが好きだね。

  • おすすめ度★★★★
  • お買い得度★★★
  • 読み応え度★★★
  • 一気読み度★★★

錬金術 セルジュ・ユタン著 文庫クセジュ

おそらく多くの人にとって、錬金術といえば中世の怪しげな詐欺師たちというイメージかもしれない。しかし「錬金術」という言葉がカバーする範囲は膨大なもので、本書を読めば「錬金術士は怪しげな詐欺師」というのが安易なイメージが誤りだったとすぐに気付くだろう。ちょっと飛躍するけど、例えば「スタップ細胞はあります!」の小保方さんも、別のまっとうな感覚をもった現代の科学者も錬金術士の末裔なのです。本書は150ページとページ数は少なく、錬金術を題材にした本としては格好の入門書だが読書慣れしてない人を寄せ付けない難しさがある。だからこそくらいついて読む価値がある。読書をしていて辞書もひかない、百科事典も読んだことないという横着な人は即座に返り討ちに遭うだろう。

  • おすすめ度★★
  • お買い得度★★★★
  • 読み応え度★★★★
  • 一気読み度★★★

宗教学大図鑑 三省堂

NZやスリランカで宗教がらみの爆破事件があった。報道されている背景にある基礎知識を押さえない限り、いつまでたっても理解は深まらない。神話の時代の原始宗教から始まり、日本の神道はもちろんユダヤ、キリスト、イスラムの一神教などの世界宗教を網羅しており、読むのに時間はかかるし、何度も読まないと飲み込めない。それだけに書いてあることをある程度消化すれば宗教に関する基礎的な知識を習得できる。かなりお買い得。三省堂のこの大図鑑シリーズは他にも色々でていて、どれもその分野の教科書のように読める。とくに『世界史大図鑑』『宗教学大図鑑』『科学大図鑑』『社会学大図鑑』はいずれもおすすめ。

  • おすすめ度★★★
  • お買い得度★★★★★
  • 読み応え度★★★★★
  • 一気読み度★
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このブログを書いてる人
早川 朋孝 EC専門のSE
IT業界歴20年のエンジニアです。ネットショップ勤務で苦労した経験から、EC・ネットショップ事業者に向けて、バックオフィス業務の自動化・効率化を提案するSEをしています。
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