このページでは以下のような悩みをもったWeb担当者や中小企業の経営者を対象に、ホームページ診断をどう進めるか、どういう観点から診断すると効果的かを紹介する。
- ホームページは素人の中小企業経営者
- Web担当者になったばかりでなにをすればいいか分からない人
- 個人経営や士族などホームページで集客したい人
- 何年もブログを更新しているのにアクセス数が全然増えない人
ホームページ診断をする前に一番大事なこと
企業のホームページが役割を果たす上で一番重要なのは目的である。この目的がないままに制作された無残な企業のホームページがネット上に山ほどある。目的がないホームページは例え毎日更新されていたとしても1日のPVが20〜30程度にしかならない。こういう活気のないホームページは誰もみないし、そこから引き合いが発生することもない。もしあなたがホームページに自社の集客やリード獲得を期待しているなら、一番最初にやるべきは何のためのホームページなのかをはっきりさせることである。目的がはっきりしないとホームページ診断する意味がない。
たいていの場合、企業がホームページを運営する目的は集客、ブランディング、リード獲得であることが多いので、この記事ではホームページの目的を「幅広く営業のため」と設定して話を進める。
ドラッカーの著作「現代の経営」をホームページ改善に活かす
目的がないホームページはひと目でそれと分かる。それは制作者、ホームページ所有者の自己満足で終始しているからだ。自分勝手さにあふれていて、閲覧者、利用者のことが考えられていない。ドラッカーは著作「経営のマネジメント」で以下のように述べている。
事業が何であるかを決めるのは、生産者ではなく顧客である。 〜中略〜 したがって、事業が何であるかという問いに対する答えは、事業の外部、すなわち顧客や市場の観点から事業を見ることによってのみ得られる。 〜中略〜 したがって、「われわれの事業は何か」という問いを発し、その問いについて十二分に検討し、正しく答えることこそ、トップマネジメントの第一の責務である。 「現代の経営 上」p.69
上記の「事業」をホームページに置き換えてもそのまま読むことができる。企業のホームページやECサイトがどうあるべきかは顧客が決めるのだ。企業側が売りたい商品を一方的に宣伝したり、言いたいことを言うだけでは誰も見てくれない。誰も共感してくれない。続いてドラッカーの「現代の経営」から重要な部分を引用する。「どんな顧客か?」についてしっかり考えないとならない。
「われわれの事業は何か」を知るための第一歩は、「顧客はだれか」という問いを発することである。現実の顧客、潜在的な顧客はだれか。顧客はどこにいるか。顧客はいかに買うか。顧客にいかに到達するかを問うことである。
この記事のここまでの要点を以下にまとめる。
- ホームページの目的をはっきりさせること
- ホームページは顧客のためにある
- どんな顧客かをはっきりさせればホームページの性格は決まってくる
以上が理解できたら前提はクリア。では試しに以下の項目に該当しないか、あなたのホームページを診断してみてほしい。一つでもひっかかるなら、自己満足ホームページである可能性が高い。
ホームページ診断 基本編
- デザイン重視し過ぎた独りよがりなホームページ
- なぜか英語のメニューのホームページ
- とりあえずスマホ対策してあるホームページ
デザイン重視し過ぎた独りよがりなホームページ
イメージ重視のなんとなくデザインがきれいなホームページ。しかし閲覧者からすると、何の印象も残らない。やたら重かったり、一般的なホームページのレイアウトルールを完全に無視している。こういうホームページは1秒で直帰される。別の表現をすると、制作側の世界観を一方的に閲覧者に押し付けるホームページと言える。顧客の共感を呼ばず、支持されることはない。
なぜかメニューが英語のホームページ
例えばこことか見て欲しい。 http://www.merveilleh.co.jp/
この項目も上記のデザイン重視と同じである。なぜかグローバルメニューが英語のホームページをいまだにけっこう見かける。もちろん英語圏のホームページなら英語のメニューは当然である。問題は日本語圏なのにメニューが英語のホームページである。世の中には、ホームページのメニューを英語にしたほうがなんとなくかっこいいと感じる人が一定数存在して、そういう人はなんとなくメニューを英語にする。利用者のことがいっさい考えられていない証拠だ。SEO的にも英語メニューはNG。
とりあえずスマホ対応してあるホームページ
この診断項目はちょっと上級編だが考えればわかる。スマホ利用者が圧倒的に多い昨今、ホームページをスマホ対応させるのは必須だと言える。しかし、あなたの会社の顧客がスマホを使わない層なら、あなたの会社のホームページがスマホ対応する必要はない。例えば地方の年配が主な客層なら、たいてい彼らはスマホを持っていない。周りのホームページがみんなスマホ対策しているから、Web制作会社に営業されて、などの理由でなんとなくホームページをスマホ対応するなんてのは愚の骨頂だろう。
ホームページ診断の結果はいかがだったろうか。目的を設定しないと、例えば上記3項目のような事例として自己満足感が表に出てくる。
ホームページ診断 勘違い編
ホームページに関してこんな勘違いやミスをしていないか、診断してみよう。○、△、☓で採点し、○:3点、△:1点、☓:0点とする。12点満点で9点以上ならホームページ診断は及第点。診断の各項目の詳しい説明は表の下にある。
ホームページ診断の採点表
診断項目 | 採点 |
---|---|
目標を設定しているか | 点 |
業者に丸投げしてないか | 点 |
リニューアルすればよくなるとおもっている | 点 |
SEOを重視し過ぎていないか | 点 |
目標を設定しているか
目的を設定した次はそれを可視化する。仮に目的がリード獲得なら「月間のリード数は100にする」のような感じだ。営業目的なのに目標がないホームページ運営は針路のない航海のようなもの。目標は必ず設定しよう。この目標、KPI(指標)とかKGI(目標数)という用語を使うことがある。月間のリード数100を獲得するためにホームページのアクセス数が10,000人必要なら、アクセス数10,000人がKPI、リード数100がKGIといった感じだ。アクセス数が10,000人を達成したのにリードが100に満たない場合は、アクセス数がそもそも足りないか、あるいはアクセス数以外に改善の余地があると分かる。こうやって問題のある箇所を徐々に特定していきそこを改善すれば、いずれは目標を達成できる。
何を評価測定するかによって、注意を払うべきものが規定される。何を評価測定するかの決定が、物事を目に見える具体的なものにする。評価測定の対象となったものだけが、意味あるものとなる。 p92
業者に丸投げしてないか
デザインから記事までWeb制作会社に外注している中小企業がけっこういるだろう。問題はその姿勢が丸投げの場合だ。少なくともホームページの核となる部分は会社の社長やWeb担当者がWeb制作会社に正確に伝える必要がある。方針、デザインの方向性などがそれだ。ホームページはその会社の一部だし、店舗の一部でもあり、社員の一人とも言える。インターネット上ではその会社そのもの。そんな会社の分身とも言えるホームページを外注に丸投げして、優れたホームページになるわけがない。
リニューアルすればよくなるとおもっている
何の方針もなくやみくもにホームページをリニューアルしてもリードは獲得できない。よくある事例は、営業会社にうまく持ち上げられたワンマン社長が予算をかけてホームページをリニューアルするが、何も数値が改善されないというパターン。こういう場合、社長はWeb制作会社に丸投げしている。営業する側も調子のいいことを言う。なんの成果もないまま徐々に疎遠になって、またリニューアルするというケースが世の中には多い。
自分で考えるという姿勢が根本的に欠けていると、こういう失敗をひたすら繰り返すことに成る。ホームページは丸投げでは成功しない時代だし、予算をかけてリニューアルしてもよくなるわけではない。
SEO重視し過ぎていないか
昔なんとなくSEOがうまくいっていた社長がある日突然ホームページの掲載順位が下がったり、インデックス数が減ったりして結果慌てる。こんな事例がけっこうある。SEOが成功していたのは偶然だったのでその結果に甘えていた。分析もろくにしていなかったので何が成功要因だったのか分からない。慌ててWeb制作会社やSEO業者、Webコンサルタントなどに相談するが時すでに遅し。失われたインデックスはもう戻らない。
以前のSEO成功体験があるとその記憶は強烈に残っていることが多い。しかし、それは一度きれいに忘れるべきだろう。今の時代、SEOよりソーシャルで共感されることのほうが大事である。SEOはその結果としてついてくる。共感を得られる優れたコンテンツを用意することが大事だ。しかしSEOの成功体験がある人は、SEOを重視するあまり不自然にSEOキーワードを入れたタイトルや文章を作ってしまう。その結果、ソーシャルメディアでシェアされず、ホームページの順位は低いままとなってしまう。
ホームページ診断まとめ
ホームページ診断で大事なのはSEOがどう、タイトルタグがどう、キャッチコピーがどう、キーワード出現率がどうなどのような表面的でテクニカルなことではなく、大きな方針。この基本がない状態でいくら改善のための診断をしてもホームページは砂上の楼閣でしかない。目的と目標を決め、それについて自分たちで考えること!これに勝るホームページ診断方法はない。