最近はサーバー周りはAWSが業界標準みたいな雰囲気を感じることがあるが、AWSは導入が易しい分、運用費用は割高です。場合によっては固定費用のVPSを使ったり、あるいは両方を使うハイブリッド型という選択肢もある。エンジニアなら両方知っておいたほうがいいだろう。
今回は、いままで書いたさくらVPSを安全に、そして上手に活用する方法に関する記事をまとめて紹介する。
まずはバックアップ
サーバー管理をするにあたり、最重要事項はバックアップである。これに尽きる。いままで書いたいくつかの記事は、結局は「バックアップをしろ」というひと言に要約できる。なぜこんなに執拗にバックアップをとるよう言うかというと、それでもバックアップを取らない人がたくさんいるからである。驚くべきことに、エンジニアでもバックアップをとらない人はいるのだ。現実にサーバーにトラブルが発生しウェブサイトやシステムが完全に消失し復旧不可になる可能性はやや低いが、それでも一定の確率で十分に起こり得ることである。
最近はVPSやクラウドなど気軽に使えるサービスが増えていますが、セキュリティに意識が回らない人がサーバーを扱うと乗っ取りや攻撃の踏み台にされる可能性が高まり、実際それでウェブサイトが消失した事例を知っています。ネットは悪意に満ちている前提でいないと、痛い目をみます。 https://t.co/CoK4yD4XNd
— 早川朋孝 | Webエンジニア (@ShiroTruffe) March 24, 2021
私は実際にウェブサイトが復旧不可になる事態に何度も遭遇した。そして、すべてのケースに共通しているのは、ことが起きる前に相談してくれればいかようにもできたのに、ことが起きた後に相談されるということだ。サーバー外にバックアップデータがないと、いくら腕利きの人でもどうにもならない。こういう現実を中小企業のウェブ担当者とか、自治体のIT担当者などであっても知らない場合が多々あるのだ。繰り返すが、サーバートラブルはいつ起きてもおかしくない。明日あなたの会社のウェブサーバーにトラブルが発生し、復旧不可になるかもしれないのだ。
人がバックアップをとらない理由
人はなぜサーバーのバックアップをとらないのか?
- 予算が足りない
- 面倒くさい
- 大丈夫だと思っている
こんな感じだろうか。要は面倒なのだ。バックアップなんて楽しい作業ではないし、誰もやりたがらない。私も別に好きではない。でもバックアップはとる。3重くらいにとる。いや、多いと4重だ。実際に数えてみる。
- サーバー内にバックアップをとる
- サーバーの外部記憶媒体にバックアップをとる
- それをローカルマシンにバックアップをとる
- ローカルマシンのバックアップとる
ここまでやってもだめなときはだめだが、それは仕方ない。ただし、最低限のバックアップすらとっていないと悔いが残るだろう。というわけで、ウェブサーバーのバックアップとりましょう、面倒だけど。
本当にあった怖い話「サーバーがクラッキングに遭って復旧できなかった件の末路とやるべきだった事」
これはサーバーがクラッキングという外部からの攻撃で制御不能になり、OSを初期化するしかない状況に陥った時の経験談。ことが起きた後に相談されてもどうにもならないという事例です。要するにバックアップをとりましょうという話。
「OSの再インストールから勝手にやってくれ」 さくらVPS利用にあたっての注意点を実体験に基づいて整理した
これはさくらVPSを利用していた時に起きた事例。さくらインターネットのトラブルでサーバーのディスク巻き戻しが発生した。これもバックアップがないとけっこう厳しいから、要するにバックアップをとりましょうという話。
さくらVPSのCentOS6系でMondo Rescueを使ったバックアップを作成する
ではどうやってウェブサーバーのバックアップをとるかというのを、さくらVPSを例に詳細な手順を説明する。完全にエンジニア向きの内容だが、エンジニアでなくともウェブ関係者ならこういう知識があれば安全に仕事が進められる。例えばウェブデザイナーやディレクターでも、「ディスクイメージ作成ちゃんと復旧できる体制ですか?」とエンジニアに質問できれば仕事できる感が出る。
さくらVPSのCentOS6系でMondo Rescueを使いリストアする
この記事はディスクイメージで復元する手順を紹介する。実はけっこう難しいが、エンジニアなら練習しておかないといけない。消防の人が日々訓練するようなもので、もしサーバーやインフラ周りのエンジニアがこれをできないとしたら、かなりまずいだろう。
さくらVPSで2つのサーバーをローカル接続する方法
ウェブサーバーを冗長構成にして、安全にウェブサイトやシステムを運用しましょうという話。バックアップとるのとは少し違うアプローチの内容だが、負荷分散などにとても重要だし、運用設計次第では結果的にバックアップとることにもなる。それでもバックアップは必要だけど。
Let’s encryptをサーバーにインストールしてcronで自動更新すればSSLはずっと無料
バックアップとは違う面での安全についての話。SSLを設定して情報漏洩を防ぐための、具体的な手順を案内する。今どきSSLなんてどこでもできるし、すでに導入しているとは思うが、こんな方法もあるよ、くらいの感覚で紹介しておく。
ウェブエンジニアが見た問い合わせフォームのトラブル事例とその事前対応策
問い合わせフォームに関して、自分が駆け出しの頃に経験した嫌な思い出を語る。あなたの管理するウェブサイトのお問い合わせフォームのセキュリティは大丈夫ですか?
以上雑多な内容となったが、安全にウェブサイトを運用するにはどれも必須の知識だ。最後にひと言、バックアップがありさえすれば、なんとかなる。