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中小零細企業がIT業務を外注する際の6つの注意点

早川朋孝 早川朋孝
EC専門のSE

中小企業向けに簡単なウェブサイトや社内ネットワーク、IT機器の販売をサービスとして展開している会社がいくつかあります。具体的な企業名としてはフォーバル、NTT Comunications、スターティア、大塚商会などがこれに該当します。他にもたくさんあるでしょうけど、私が知っているのはこれくらいです。各会社を詳しくみれば大企業向けの部署とか中小むけの部署とかあるのかもしれませんが、ここでは中小零細企業向けのサービスに話しを絞ります。

先日、知人からこんな趣旨の相談を受けました。なぜかひげのアイコンが私です(笑

こんど事務所を移転し、それに伴いパソコンを増やすのと、パソコンとサーバーと複合機を移動したい。いまは大塚商会と取引しているのだけど、どこかいい業者を知らないか?

大塚商会はそんなに悪くないと思うけど、何か不満はある?

売りっぱなしなのと、金額が高い。パソコンのリースの見積もりを出してきてもスペックが分からない。AudoCADを使うからスペックの高いのが必要なのに、スペックが分からないから困ってる。

なるほど、ま、あるあるですね。
それとなんで大塚商会からパソコンを買ったの?

社長がそっち方面に全然詳しくなくて、むかし大塚商会からパソコンを以来継続して取引してる。ただ今回は新しいパソコンは大塚商会を通さず買おうと思ってる。

まず、結論から伝えると、特にいい業者というのは存在しないです。

大塚商会、NTT Comunications、スターティア、フォーバルなどは上場していて、どれも同じ業種としてIT業界ではよく耳にします。これらの会社にはいくつか共通点があって、

  • いずれの企業も中小企業をターゲットにしていて、契約数を稼ぐという薄利多売な方法で利益を得ている
  • 中小企業相手の社内用ネットワークやホームページというのは差が出ない領域である

したがって、どれか一つの会社が抜きん出ていいとか、悪いというのは考えにくいです。特にいい業者はないというのはそういう意味です。では、こういう会社と上手に付き合うにはどうすればいいのか。それについてもう少し掘り下げて説明します。

薄利多売

まず、いずれの会社も契約数を稼ぐ方法で利益を出しているので、よほど大口でない限りは一つの契約先に熱心に提案することはあまりない。小さな一つの会社に頑張って提案しても利益が上がるわけではないから当然です。

提案力のない若い営業

そしてこれも重要な点だけど、営業窓口はたいして経験のない若い人が多く、たいてい提案内容がポンコツです。彼自身が詳しいわけでもなんでもなく、恐らく「こういう規模の企業で、こういうパターンの問い合わせにはこう回答しろ」みたいな社内マニュアルがあり、それに沿って回答しているだけ。こういった会社の若い営業は提案力はもちろんないし、経験もスキルも人生目標もない人が多い。だからいい提案を期待すること自体が難しい。

少し想像すれば分かると思うけど、彼らは「会社にやらされている」という感じで仕事をしていて、離職率が高いからスキルも身につかないし、作業効率重視だから一社の細かい事業はいちいち見る余裕はないし、悪い言い方をすると社内の営業成績だけが大事みたいな考えの上司がいるだろうから仕事はしづらいと思う。中には優秀な営業もいるかもしれないけど、そういう人に当たる確率は低い。

そもそも優秀な人が電話営業なんかで貴重な稼働時間を浪費しますか?しないでしょ。成績とれないポンコツか未経験の若者が電話営業するのです。彼らは電話口で偉そうにコンサルとかなんとか言っておきながら、ろくな実務経験も成功体験もありません。繰り返しになるけど、彼ら若い営業にいい提案を期待すること自体が難しいのです。

つぎにホームページについて説明します。

中小企業相手の格安のウェブ制作というのは差が出ない領域

中小零細企業相手のホームページサービスにはパッケージプランがあって、例えば5ページまで、デザインテンプレートから選ぶ、みたいな感じ用意されています。限りなく制約のある中でのウェブ制作なので、どの企業を選んでも差はでないです。比較したことがないから厳密には知らないけど、たぶん値段もそう変わらないでしょう。月3000円〜5000円くらいが相場です。こういうサービスのウェブ制作にはなんのも期待できないし、そもそもサービス提供側がウェブにこだわらない会社をターゲットにしてます。これはいい悪いの問題ではく、そういう商売なのです。

したがって、もし中小零細企業の人がウェブにこだわるなら専門のウェブ制作会社を選ぶ必要があります。そういう会社に依頼すればいいウェブも作ってくれますが、もちろん高いです。要件によりますが数百万とか1千万とか平気でします。名刺代わりの簡単なホームページでいいのならば、どこでも好きな会社に依頼すればいいでしょう。

社内ローカルネットワークもやはり差がでない

社内のローカルネットワークもサービスの品質に差が出ないです。上記の通り効率重視、契約数重視の営業であるのに加え、例えば同等のスキルを有するネットワークエンジニアの収入が、ある企業なら1000万円で別の企業なら300万円みたいな差は絶対にない。フォーバル、スターティア、大塚商会などの会社ならエンジニアの年収は平均するとそう大きくは変わらないしょう。だから会社ごとにサービス料金の差や品質の差が大きくでることはないのです。

冒頭に「特にいい業者というのは存在しない」と書いたのはこういう理由によるものです。

ITサービスを提供する会社とどう付き合うか

ここで書いた一部の内容がフォーバル、NTT Comunications、スターティア、大塚商会の悪口みたいになってしまいましたが、これらの企業は決して悪い企業であるわけではなく、むしろ中小企業や零細企業で、ITのことが面倒だから社外に丸投げしたいという場合は、こういった会社に依頼するのは悪くない選択肢だと思います。ただし過剰な期待をしないことが重要ですが。

ここまで書いてきたことを整理します。

  • 社内ネットワークは素人が構築できるものではないから、業者に依頼すべし。中小零細企業が自社でエンジニアや情シスを雇うほうがたいていは高くつきます。
  • 付き合うIT業者を変えてもサービス品質も値段はそんなに変わらないから、安易に変えないほうがいい。業者を変えるのに発生する社内の人件費のほうが大きいかもしれない。もちろん極端に不満があるとか、高いとかなら検討する価値はあります。
  • パソコンくらいは自社内で選ぶべし。社員の家族や知人に詳しい人が一人くらいはいるだろうから、少し金をつかませて選んでもらえばいい。
  • ウェブにこだわるなら専門の会社に依頼せよ。ただし高いですが。
  • 後で頭にきたくないなら業者に過剰な期待は禁物。それが嫌なら自分で少しはITのことを勉強するしかないです。
  • どんな業種でも電話営業してくる人はたいていは提案力はない。彼らは営業成績のためにあることないことをたくさん挙げてきますが甘い言葉に乗らない方がいい。特に脅かしてくるようなやつはろくなもんではない。

ここまで読んでくれた方はそれなりのお悩みがあると思います。皆さんの健闘を祈ります。

※アイコンはICOON MONO:https://icooon-mono.com/category/person/からダウンロードしました。ありがとうございます。

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このブログを書いてる人
早川 朋孝 EC専門のSE
IT業界歴20年のエンジニアです。ネットショップ勤務で苦労した経験から、EC・ネットショップ事業者に向けて、バックオフィス業務の自動化・効率化を提案するSEをしています。
Web運用の経験もあり、アクセス解析、広告運用が得意で、広告APIとプログラムとの合わせ技で並の広告代理店にはできない提案が可能です。
プロフィール
API連携の相談にのります
趣味は読書、ピアノ、マリノスの応援など
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