世の中には投資詐欺とか、情報商材とか、起業セミナーのような怪しげなビジネスが横行している。で、そいつらが狩場にしているのはYahooとかGoogleの有料広告なわけです。なぜなら、ネット広告は小額から開始できるし規制も緩いので、変な広告が普通に出てくる。先日Yahooのニュースを見ていたら、たまたま広告で以下の写真のようなものが出てきてた。
どう考えても怪しい。1日30分で年間2億円とあるが、時給換算で約111万円!だいたい名前がすごい。「神王リョウ」。「神」の次に「王」。どんだけ偉いんだよ!と思ってしまう。そして、なぜか下の名前がカタカナ。他にも、もちろんつっこみどころ満載。ということで詐欺サイトに以下つっこみを入れていく。
つっこみどころ一覧
- 「公開終了まで〜」の時計はJSのプログラムを使ってる
- 15,000件の受講後のコメントを頂いたらしい
- Twitterのフォロワーが2000人
- 経費は月1000円?
「公開終了まで2時間」の時計はJSのプログラムを使ってる
敢えてリンクは貼らないが、見たい人はhttp://ir-car.com/ppc/lp_2/index2ndz.phpをブラウザのURL入力して見てみて。ちなみにこういうサイトすぐドメイン変えるので、いつまで閲覧できるかは不明。2016/3/7現在閲覧できる模様。
ページの最上部に「公開終了まで2時間」とあるが、これはJavaScriptというプログラムを使っている。htmlが分かる人なら誰でもこれくらい作れる。公開期限を設けて煽っているつもりだろうが、このプログラムは、閲覧開始時を起点にして2時間のカウントダウンが始まるだけなのだ。つまり明日閲覧しても、新たに2時間のカウントダウンが始まるだけ。ま、明日改めてわざわざ確認しないけどね。
15,000件の受講後のコメントを頂いたらしい
ページの中ほどに上の写真のような部分がある。298,000円の受講料で最低15,000人なら単純計算で売上は44億円になる。そんなに持ってるならなんでオンラインスクールとPDFの販売なんてやるんだ?しかも本業の投資で44億円以外の収入もあり、もっと儲かってるはずだ。南の海に行ってクルージングでもしてればいいのに。一体彼は東北の震災の時いくら寄付したんだろう。払う税金も相当なものだ。高額納税者公示制度が廃止されてなかったら、順位は分からないけど確実に載ってただろうね。
ある程度大きい会社でも、売上1億円を得るのはたやすいことではない。最低でも数人のチームを組んで、プロジェクトは何ヶ月もかかる。神王リョウ氏はその44倍を一人でやりのけたのだろうか。写真見ると若そうだけど、すごすぎるぜ、神王リョウ氏!
Twitterのフォロワーが2000人
https://twitter.com/ryo_kamio/followers
Twitterのフォロワーが2000人いるが、フォロワーの半分くらいは自己紹介文も写真もない。推測だが、神王リョウ氏は一人でニセアカウントを大量にしこしこ作って、自分のアカウントにフォローする作業を延々とやったのではないだろうか。で、途中で飽きて中途半端に2000人くらいになった。
Webで1件の成約を得るには100人の見込み客がいて、さらに見込み客ではない普通の閲覧者が30,000人はいる。Web成約率なんてそんなものだ。15,000人の受講者がいるなら、熱心なフォロワーが10万人はいておかしくない。
経費は月1000円?
ドメインir-car.comのIPアドレスを調べると、サーバーの所有者はXServerとでた。XServerはレンタルサーバーのサービスの一つで、別に悪い業者ではない。最安のプランは1000円とある。売上44億なら、サイトのアクセス数は天文学的な数字になる。絶対に月1000円のプランでは対応できない。AWSを使って月間何十万くらいのサーバー代がかかるだろう。だいたい売上44億円もあって月1000円のサーバーなんてせこすぎる。もっと社会に還元してよ。
他に経費がかかっているのはネット広告費だ。これだけはいくら使ってるか不明だが、安ければ1日100円くらいで開始できる。
最後に
このように突っ込みどころ満載の情報商材サイトはネットの有料広告に氾濫している。彼らは名前とサイト名、ドメインなどを変えて繰り返す。YahooもGoogleも広告収入がメインのため、自ずと規制はゆるくなる。この流れは当面変わらないだろう。つまり怪しげなサイトが消えることはない。
詐欺の情報商材サイトを見分けるのはとっても簡単で、以下の3つの方法で十分。
- 釣りで出ている数字に対して算数をする
- 有料広告は出ているが自然検索で出てこない
- 掲載住所を調べると所在地が山奥
釣りで出ている数字に対して算数をする
この記事でさんざんやってきたのは、1日30分で年間2億円とか、29万8千円の受講料で15,000人の受講者がいあれば売上は44億円になるなど数字に対するツッコミ。簡単な算数をするだけで、一般的にありえない数字になることが分かる。
有料広告は出ているが自然検索で出てこない
GoogleやYahooで検索するとき、広告エリアより自然検索の結果のほうが信頼度が高い。なぜなら、Googleの検索結果は利用者のニーズに応じた役立つサイトが表示されるよう最適化されているので、なんだかんだでネットでは一番信頼性が高い。一方、広告エリアは金さえ払えば誰でも掲載できるのでクオリティの低いサイトが出てくる可能性がある。だからなにかを調べる際、広告エリアはクリックしないことだ。リテラシーがある程度高い人はみんなそうしてると思う。
掲載住所を調べると所在地が山奥
以前MacOS用のマイクロソフトオフィスを買おうと検索した際、広告エリアに9000円という絶対にありえない価格で販売しているサイトがあった。そのサイトの登録住所を調べると、絶対に人が住んでない山奥だった。このように怪しいサイトは有料広告欄で待ち構えている。インターネットを、スマホを買って初めて利用する若者(PC持ってない)とか年寄りがこういうのにひっかかる。少しでもそういう被害が減るよう願うばかり。